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花粉の季節でもないのに、鼻がムズムズしたりくしゃみがでるときは、おうちの中のハウスダストを疑ったほうが良いかもしれません。
ハウスダストは、チリ、カビ、ダニ、ペットの毛など、うちのホコリの中でも、特に1mm以下の視認しにくいもののことを指します。ハウスダストは空気中に舞い上がりやすく、体内に入るとアレルギー症状やぜんそく等を引き起こす原因になることがあります。
今回は、そんな厄介なハウスダストから家族とお家を守る方法をご紹介します。
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1 ハウスダストの発生源
そもそも、どうしてハウスダストは発生するのでしょうか。この章では、様々な角度からその発生源を探ります。
1-1 ダニ
日本のおうちにいるダニの多くはヒョウヒダニと呼ばれる種類のダニです。その中でも、特にヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニの2種類が、ハウスダストの主な原因と言われています。
ヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニの主なエサは、家のホコリや、人やペットの毛などです。それらを食べて繁殖し、その死骸がハウスダストとなり空中に舞うのです、ダニは、梅雨から夏にかけて一気に繁殖します。寿命は2〜3ヶ月と言われています。
そのため秋ごろには、ダニのフンや死骸が最も多く溜まっており、ハウスダストの発生が一気に増えます。
1-2 毛
家の中のホコリには抜け毛やフケ、ゴキブリなど虫の死骸やフンが含まれています。
これらがハウスダストとして宙に舞うほか、先ほど紹介したダニのエサとなり、さらにダニを増殖させて、ハウスダストによる悪循環をもたらします。
1-3 カビや細菌
お風呂場やキッチン、家具の裏の壁など、湿度の高い場所にカビが発生していたら、その胞子が大量に発散し、ハウスダストとして宙に舞っていると考えてよいでしょう。また水まわりで発生した細菌もハウスダストに混じっていることも考えられます。
現代の密閉性の高いおうちは、湿度も高いためカビや細菌が繁殖しやすくなっています。
1-4 花粉
外気中を飛散しているスギやブタクサの花粉もハウスダストの原因です。地域差や気候差はありますが、スギの花粉は2~5月頃、ブタクサの花粉は8~10月頃に飛散します。
この時期に窓を開けていたり、洗濯物をとり込んだりするとき、おうちの中にも花粉が入り込み、その他のホコリと混じり合いハウスダストを形成します。
1-5 衣類や布団
衣類や布団から出る綿ぼこりや繊維クズもハウスダスト原因となります。
こたつを使ったり、繊維クズが出やすいセーターや上着類を着こむ冬場は特に多くのハウスダストが飛散します。
2 ハウスダストによる症状
次に、ハウスダストが引き起こす症状について見てみましょう。
皮膚や粘膜には、体内に異物が入らないように身体を守る免疫機能がありますが、ハウスダストとして身体の中にダニやほこりなどのアレルゲン物質が入りこむと、皮膚の細胞がそれらを異物だと認識します。次に、それら異物に対して異物を排除する分子を作り、血液中を流れて皮膚や粘膜の細胞の表面に配置します。再びアレルゲン物質が侵入すると、体内から「ヒスタミン」、「ロイコトリエン」と呼ばれる化学物質を放出して、気管支の筋肉を収縮させたり、鼻粘膜の炎症を引き起こしたりします。
これが、アレルギー反応と呼ばれるハウスダストに起因する症状の基本的なメカニズムです。
2-1 アレルギー性鼻炎
ハウスダストが体内に侵入して、アレルギー反応を引き起こし、鼻の粘膜に炎症を起こすのが、アレルギー性鼻炎です。突然、発作のようなくしゃみが続いたり、水のような鼻水、鼻づまりなどの症状を引き起こします。
アレルギー性鼻炎には、花粉が引き起こすものと、ハウスダストが引き起こすものの2種類がありますので注意しましょう。
ハウスダスト由来のアレルギー性鼻炎の場合、こまめな部屋の掃除と、室温と湿度調整によって症状を軽減することができます。
2-2 アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎では、ハウスダストが結膜に入ることにより、目に充血や強いかゆみが起きます。結膜がむくんで白目部分が膨らむこともあります。
ハウスダストが原因の通年性のものと、花粉による季節性のものがあります。また。最近ではコンタクトレンズの汚れによって引き起こされることもあります。
2-3 アトピー性皮膚炎
ハウスダストよって引き起こされるアレルギー疾患です。
乳幼児期は、顔や頭、耳のなどの皮膚が赤く腫れ、小児期以降では皮膚がカサカサに乾き、硬くなります。強いかゆみをともなうため、かくことで皮膚に傷がつき、細菌に感染して悪化することがあります。
2-4 気管支喘息
喘息発作時の激しい咳き込み、息苦しさは激しい苦痛をもたらします。息をするたびにのどや胸から「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」という音が喉や胸から聞こえるのが特徴です。
約7割は大人になるまでに治まるものの、一度治っても再発することがあります。
成人期になってからの気管支喘息は、ハウスダストによる気道の慢性的な炎症です。風邪が長引いているな、と思ったら喘息だったというのもよくある話です。
3 ハウスダストの特徴
さて、ハウスダストは、どのように動き、先に述べたような症状を引き起こすのでしょうか。
ハウスダストは非情に軽いので、人の動きによって起きる気流に合わせてあちこちに移動します。1日の中では、人が活動する時間帯は宙に舞い、人がいないときや寝ている間は床などに溜まります。そして、また人が起きて、動き始めると気流により、ハウスダストが舞い始めます。
寝起きに出る「モーニングアタック」と呼ばれるくしゃみは、人が起きだしてから舞うハウスダストが原因です。
4 ハウスダストの予防法
ハウスダストは、ほぼ自分で対処できます。大半は日常生活の中でできるものばかりですので、ふだんから意識してハウスダストを発生させないよう予防していきましょう。
この章では、その具体的な方法をご紹介します。
4-1 こまめな掃除と洗濯
できるだけ毎日掃除し、寝室はとくに念入りにお掃除しましょう。
花粉の季節や近くに道路がある場所以外は、窓やドアを開け風通しを良くすることも忘れないでおきましょう。
いきなり掃除機をかけると、掃除機の動きや排気で、床に落ちたハウスダストが舞い上がってしまいますので、まず、モップなどで拭き掃除をしたあとに掃除機をかけるようにしたいものです。
このときも、気流によってハウスダストが舞い上がらないように、エアコンを止めたり、窓を閉めたりしておきましょう。
カーペットなどのダニや花粉を取り除くには排気循環式の掃除機が効果的です。
カビやダニが繁殖しやすいタオルや足拭きマット、シーツなどは、日頃からこまめに洗濯するようにしましょう。
お部屋の掃除をするときは高い場所から低い場所へ向かうようにしましょう。
ハウスダストは、上から下に落ち、溜まっていきます。床からではなく、本棚やデスクの上からお掃除するのがよいでしょう。
4-2 室温・湿度
ダニは高温多湿を好み、気温25℃、湿度75%のときに最も増殖します。
除湿機などを利用し、室温は20~25℃、湿度は50%以下に保つようにしておけば、ダニの繁殖を抑えられるはずです。
押し入れやタンス、シューズボックスなど湿度が高くなりがちなところは、ときどき風を通して乾燥させたり、除湿剤などを入れておきましょう。
ダニは熱に弱く、50℃以上になると死滅するので、こまめに干したり、ふとん乾燥機にかけるのも効果的です。
ダニ対策については、あとの章で更に詳しく取り上げます。
4-3 ペット・植物
ペットを飼っているおうちでは、抜け毛や汚れがペットの体に溜まらないようにしましょう。定期的にシャンプーして清潔な状態を保てば、ダニの発生を抑えられます。ペット用のダニ予防薬や駆除薬を使用しても効果があります。
観葉植物も、土や肥料からホコリが発生し、ハウスダストにつながるので、長期間置きっぱなしにせず、ときどき外に出して拭き掃除などをするようにしましょう。
4-4 花粉
外出から戻ったときは、家に入る前に玄関先で服などについた花粉を払い落とすようにしましょう。
洗濯物はできるだけ乾燥機を利用するか部屋干しにしましょう。外に干す場合ときは、よく花粉を払い落としてから取り込み、さらに掃除機をかけて残った花粉を吸引しておきましょう。
花粉の除去は、ハウスダスト対策としても、花粉症対策としても効果的です。
5 防ダニ
ハウスダストに含まれるダニのフン・死骸は、ダニアレル物質と呼ばれており、ハウスダストの人体に対する悪影響の大半の原因となっています。
つまりダニを制すれば、ハウスダストによる症状の大半は軽減できるのです。ここでは、ダニ対策について、詳しくお話していきます。
5-1 布団のダニ
就寝時や起きた時にくしゃみやせきが出るのは、ふとんにダニアレル物質が多く付着しているため、長時間布団のそばにある鼻や口から多くのダニアレル物質を吸い込んでしまうからです。
布団は、ダニの栄養素となる汗や老廃物などが多く、また、寝ている間は体温で温められるため、ダニが繁殖する条件が整っています。
一般に布団の防ダニ・殺ダニは、天日干しが効果的だと言われていますが、天日干しには除湿効果しかありません。そして布団たたきで、ダニが落とせると思われていますが、むしろ逆効果です。ダニのフンや死骸が細かく砕け、さらに体内に吸い込まれやすい状態になってしまいます。
ふとん内のダニアレル物質は、ふとん用のノズルをつけた掃除機でじっくり吸い込むのが効果的ですが、完璧に取り去るのはなかなか難しいのが現状です。
実は、ダニのフン・死がいや、そしてダニのエサになる人間のフケ、アカは水溶性なので、水で洗い流すのが一番効果的です。また、ダニは卵から幼虫に孵化するまでに1週間かかるため、卵のうちに洗い流すのがベストです。ですから、タオルケットやシーツ類は週に一回は洗濯するようにしましょう。布団は年に1回ほどは、丸洗いするのが理想的です。
布団類には、ダニアレル物質が透過しない高密度の繊維を使用しているカバーをかけるようにすれば、ダニアレル物質による悪影響を最低限に抑えられます。
5-2 押入れのダニ
布団を押入れにしまうと、布団に吸収された汗で押入れの中の湿度が高くなり、さらにダニが繁殖し、それらのダニが押し入れの中の居るにも付着してしまいます。
押入れの中のダニの発生を抑えるためには、モノをつめこみすぎないことです。それだけで、温度と湿度が高まり、ダニ発生の温床となってしまうからです。
また、床や壁にスノコなどを敷いて空間を作れば、湿度も抑えられ、ダニの発生を防ぎます。お天気の日は押し入れを開けて、空気の入れ替えをすることも大切です。
5-3 キッチンのダニ
キッチンにもダニが多く潜んでいます。小麦粉や片栗粉など、粉ものが大好物だからです。
天ぷら粉、小麦粉、片栗粉など、一度でも袋を開封したら、洗濯バサミや輪ゴムで止めるだけでなく、タッパーなどに入れて密閉して冷蔵庫に入れるようにしましょう。洗濯バサミなどでは、すき間が発生し、そこからダニが入って繁殖してしまいます。
意外な豆知識として、ダニは香辛料の匂いを嫌う、といわれています。カレー粉などをジップロックに入れてキッチンに置いておくと、ダニが寄り付かなくなるそうです。
5-4 カーテンのダニ
ハウスダスト対策で忘れがちなのが、カーテンです。カーテンに繁殖してるいるダニやホコリは、カーテンを掃除機がけするだけで、大部分取り除くことができます。
ダニは掃除機の衝撃で簡単に死滅してしまうので、駆除も簡単です。
また、布団と同様に1年に1回は、丸洗いしてリフレッシュさせておくことをおすすめします。
まとめ
キレイにしているつもりでも、ハウスダストはいつのまにか溜まってしまいます。
ハウスダストが原因の症状に気づいた時は、ふだんのお掃除方法を見なおしてみましょう。ハウスダストを意識したお掃除方法を導入することによって、かなりの部分、つらい症状を緩和することができるはずです。
これから秋に入り、ダニのフンや死骸など、ハウスダスト形成物質の大量発生が予想されます。そうならないよう、上記の方法での早めの対処をおすすめします。
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