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パッシブデザインという言葉をお聞きになったことはあるでしょうか?
パッシブデザインとは、近年の家づくりにおいて無視できない重要なキーワードです。
簡単にいえば、「夏は涼しく、冬は暖かい家」を実現する手法のひとつなのですが、これは私たちにとって安心・安全な家づくりの基本となるものです。
今回はこのパッシブデザインについて解説したいと思います。
家の性能のひとつに「室内温度の安定」を求める方にお役立ていただきたいと思います。
また、解説に入るまでに失敗しない家づくりで1番重要な事をお伝えします。
「夢のマイホーム」の実現に向けて、多くの人が住宅展示場を訪れたり、雑誌やウェブサイトで情報を集めたりします。
しかし、その一方で、家づくりを始める前に「知っておくべきだった…」と後悔する人が後を絶ちません。
理想の家を建てるためには、情報収集が最も重要と言っても過言ではありません。
しっかりと情報収集を行わずに安易に住宅メーカーを決めてしまった結果、取り返しのつかない後悔をしてしまう方は非常に多いです。
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家づくりは、多くの人にとって、人生で一度きりの大きなイベント。
だからこそ、後悔のない家づくりを実現するために、まずは情報収集から始めてみましょう!
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きっと、あなたの夢を叶える、素敵な家との出会いが待っています。
さあ、理想の住まいづくりを始めましょう!
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それでは解説をしていきます。
1.パッシブデザインとは
出典:https://www.ntecj.co.jp/passivedesign/
パッシブデザインとは、太陽の光や風といった、「誰にも等しく与えられる自然の恵み」を家の快適さに活用する手法のことです。
たとえば、
・暖かい空気は室内下部から上部へと移動する
・冷たい空気は室内上部から下部へと移動する
・太陽光は季節によりその角度を変える
などの、“自然の法則”を利活用し、極力電力に頼らず心地よい家にしようとする手法です。
ちなみに、「パッシブ」とは受身の状態であることを示します。自然のエネルギーを受動的に、そして上手に利用する考え方をパッシブデザインと呼びます。
とはいえ、これらの仕組みのみで真夏も真冬もエアコンなし、という訳にはいかないのが現状ではあります。もちろん、家の断熱は必須です。
2.空気を入れ替える手法
気候の良い頃、窓を開け、家の中を自然な空気が吹き抜けていくととても心地が良いものです。これを「少し暑くなってくる頃」まで延長できれば、その分エアコンなどのエネルギー利用も少なくなり、電力料金の低減を目指せます。中にはエアコン嫌いの方もいらっしゃるでしょうから、この“空気の循環”はとても大切なことです。
2-1.吹き抜けリビングの空気を上手に入れ替える
室内の空気の流れはとても複雑です。特に部屋のほとんどが個室である場合、そのコントロールは難しくなります。しかしながら、
・窓を対角線上に設ける
・窓に高低差をつける
ことで、熱せられた空気が低いほうの窓から高いほうの窓へと流れ出て、室内の快適さを保つことができます。
「対角線上」「高低差」のある窓を実現する方法として、吹き抜けリビングの窓と、吹き抜け2階部(リビング窓と相対する面)の窓があります。近年、吹き抜けは人気ですし、大きな窓を設けることが好まれています。これを利用し、吹き抜け2階部の窓から熱い空気を逃がすことで、自然な風だけで快適に過ごせる期間を長くできます。
2-2.窓を対角線上+高低差をつけて設ける
個室の場合、吹き抜けリビングほどダイナミックな空気の循環を起こすことは難しいものです。しかしながら、横並びの個室と、それを繋げる廊下の上部に高窓ないしは腰高窓を設けることで、同様の効果をもたらすこともできるでしょう。
もしも個室のドアを開けておくことに抵抗があるのなら、ドアの一部がガラリ(通気を確保するためのスリット)になっているものを選び、個室の窓を少し開けておけば、プライバシーを保ちながらも空気を通すことができます。
3.太陽光コントロールの手法
既にご存じの通り、太陽の角度は夏は高く、冬は低くなります。夏はできるだけ太陽光が室内に差し込まないように、冬は太陽光を取り入れるようにすることで、暑さや寒さへの対策をします。
3-1.ひさしや軒の設計
ひさしや軒は、雨から窓を守ってくれるだけでなく、太陽光がどれだけ家に入り込むかの決め手となります。夏はしっかりと太陽光を遮断し、冬場にはできるだけ太陽光が入るよう、充分に検討しなければならない部分です。
敷地の向きや近隣の家の建ち方など、“建設予定の敷地の個性”に合わせ、ひさしの長さを調節することで、夏の暑さ/冬の寒さをコントロールします。
特に冬場は、寒いだけでなく家の中が暗くなりがちですので、出来るだけ日差しが屋内深くまで差し込むよう工夫することが大切です。
もしも大きなひさしや軒が必要とされながらも、隣家との関係やデザイン上の問題でそれがかなわない場合、必要なときだけ引き出すオーニングやシェードで代用することがあります。
4.積極的に自然エネルギーを活用するシステムとその手法
これまでは、家の作りそのもので太陽光や風の通りを活かす手法でしたが、より積極的に自然エネルギーを活用する設備(システム)も存在します。これに加え、「真冬の寒さ」「真夏の暑さ」をエアコンなどで補完します。
4-1.太陽で温まった空気を家の中に送り込む
「《そよ風》の特徴│環境創機株式会社」
http://www.kankyosouki.co.jp/whatssoyokaze/characteristic/
屋根で熱せられた空気を、ダクトを通し床下に送り込むことで家の中全体を温める方法です。温められた空気は床下全体にくまなく送られます。リビングのみならず、洗面台そばやトイレ、脱衣室など、寒さが気になる場所に吹き出し口(ガラリ)を設ければ、家中が一定の暖かさに保たれます。
リビングからトイレへ、ないしは浴室へ移動するときに起きやすいヒートショックの低減に役立ちます。
「涼温な家│「いい家」をつくる会」
「しくみ│OMソーラーの家」
http://omsolar.jp/about/structure.html
これらは、家にしっかりと断熱材を施したときに有効な仕組みです。家の断熱性能を確保した上で検討するものです。積極的な自然エネルギーの利活用の面では有益ですが、このシステム分、建築費が上がってしまいます。
5.パッシブデザイン+エアコンで快適な家を作る手法
家そのものをいわゆるパッシブデザインとし、必要な断熱を施したところで「予算一杯」という場合、どうすればよいのでしょうか。身近にある家電製品で冬の寒さや夏の暑さをしのぐことができます。
5-1.床置き形のエアコン・小屋裏へのエアコンを使用する
リビングなどの一部にスペースを開け、そこへ床置き形エアコンをすっぽりと入れてしまう方法があります。床置き型エアコンは、エアコン本体の下部と上部から空気を送り出す仕組みを採用したものが多いので、これを使用することで「床下」「室内」を同時に暖めよう、という手法です。
リビングやトイレ、脱衣所などにガラリを設置すれば、上記のシステムと類似の状況を作ることができますし、エアコンが故障したときでも修理や買い替えが容易です。
しかしながら、冷房には適さないという面があります。基礎に用いられるコンクリートは、2~3年をかけ、ゆっくりと水分を発し続けます。このことから、冷房モードを使用してしまうと、床下の結露が生じやすくなるのです。
これを解消するため、小屋裏部分にもエアコンを設置するという方法があります。既にご存じの通り、冷たい空気は下へ下へと移動する性質を持っています。屋根部分をしっかり断熱し、エアコンの効果を最大限に発揮できる“環境”を作ったうえで、室内上部から冷却した風が行きわたるようにすればよいのです。
家の広さ次第、エアコンの能力(通常○畳タイプと表示されている)によりますが、冬場は床置きの1台で、夏場は小屋裏の1台で温度調整を擦ればよい、ということとなります。
もちろん電気代はかかります。しかしながら、家の内部(部屋ごと)の温度差が少なく済みますので、その効果とのバランスを検討するとよいでしょう。ヒートショックが起きにくい・寒暖差でおきるアレルギーが生じにくくなるという健康上のメリットは大いに期待できます。
まとめ
パッシブデザインとは、四季がはっきりとした日本において、冬の寒さ・夏の暑さを自然の力(太陽光・風)で軽減しようとするとてもナチュラルで合理的な手法です。
しかしながら、それを実現するにはパッシブデザインに通じた建築家や工務店の力が必要です。そのような人たちとの家づくりに臨む際、知っておきたいことが以下の4点です。
1.パッシブデザインとは、「熱い空気は上に向かう」「冷たい空気は下に向かう」に加え、「太陽光の角度」への配慮で実現する
2.空気のスムーズな通りは「対角線上の窓」と「上下の窓」で実現する
3.太陽光は「夏には入れない」「冬には積極的に差し込むよう」に工夫する
4.太陽光をより積極的に活用し、屋内を温めるシステムもある
5.断熱と床置き型エアコンの組み合わせにより床下から家を温める手法も使える
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