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近年は、一戸建てを建てる際に1つの選択をすることになります。
それは、「太陽光発電」を一戸建てに導入するか否か、というものです。太陽のエネルギーを電力に代えて、自宅の電力を供給してくれる太陽光発電。
人に意見を聞いてみても、「環境に対しても優しいイメージ」や、「電気代が節約できるんでしょ?」といった肯定的な意見もあれば、「導入するのにお金がかかりそう……」、「メンテナンスも大変って聞くよ」という否定的な意見もあります。
一家庭で導入するには大きいシステムなので、長いスパンで損得を比較する必要があります。
ここでは、太陽光発電の仕組みから、導入におけるメリット・デメリットを見ていきます。
また、解説に入るまでに失敗しない家づくりで1番重要な事をお伝えします。
「夢のマイホーム」の実現に向けて、多くの人が住宅展示場を訪れたり、雑誌やウェブサイトで情報を集めたりします。
しかし、その一方で、家づくりを始める前に「知っておくべきだった…」と後悔する人が後を絶ちません。
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そもそも太陽光発電システムとは
太陽光発電とはどういうものか、最初に知っておきましょう。
簡単に言えば、「太陽光パネル」を建物の屋根に設置する事で、光エネルギーを電力に変換する仕組みを言います。
太陽光パネルに太陽の光が当たると、自動的に発電してくれます。
ここで生まれた電力は、家庭用の交流電気に「パワーコンディショナー」を通じて変換され、「分電盤」を通じて一軒家のあちこちに供給されます。
発電される電力は、太陽光パネルの量によって変わってきます。
屋根の面積が広くて、多くのパネルが設置されるようだと発電量も当然多くなりますね。
また、どれだけの電力が発電されたかは家にあるモニターで確認することもできます。
さらに、生み出した電力によって家での電力消費をカバーし、電力が余るようだと「電力量計」を通じて余剰電力を電力会社に売ることもできます。
逆に、雨や曇りの日が続いて電力発電量が足りなければ、電力会社から購入します。
この場合、買電用・売電用どちらの電力量計も設置する必要があります。
こうした売ったり買ったりといった動きは、オートマチックに実施されるため、住んでいる人が日ごろ操作する必要はありません。
従来の一戸建てであれば、絶対に必要になる電力は、電力会社から買うことしかできませんでしたが、この太陽光発電システムがあれば、日常的には自給自足で電気代を賄えることができます。
しかし、ここで述べたように、様々な設備を家に配備しなければならないので、当然導入コストは、導入しないよりもかかります。
太陽光発電システム導入に適した屋根とは
太陽光発電パネルを設置する場所としては、一戸建ての屋根が最も多いケースです。
一概に屋根といっても、平面な屋根もあれば2面になっている切妻屋根など、様々なパターンが考えられます。
より太陽光エネルギーをパネルに当てるためには、日射量が最も多くなる真南に向いた屋根が理想的です。
東西の屋根でも、それなりに効果はありますね。
角度としては、30度が理想的とされています。
これより角度が緩くなってしまうと、発電効率がその分落ちてしまいます。
平面の屋根でも、パネルを傾けた形で設置することで角度を保てます。
この設置角度はパネル表面の汚れ(雨水などが貯まって乾いた際に汚れがついてしまう)を防ぐのにも重要な役割を果たします。
太陽光発電のメリット
太陽光発電には、電気代の節約だけでなく、さまざまなメリットがあります。
災害時に活躍してくれたり、暑さや寒さをやわらげたりするなど、意外な長所も。
ここでは、太陽光発電を一軒家に導入した場合の、メリットについて詳しくご説明します。
メリット1:月々の電気代節約になる
太陽光発電システムを導入する一番のメリットと言えるでしょう。
通常であれば毎月数千円から、多ければ数万円にもなる電気代を、自分たちのシステムで発電した分だけ抑えることができます。
これは節電などの方法よりも、ダイレクトに電気料金に影響を及ぼします。
天候や太陽光パネルの設置量にも左右されますが、発電した電気は余ることもあるくらいです。
この場合、一戸建てはガスの使用を抑えられるオール電化にした方がお得になるでしょう。
オール電化の場合は、電気代単価が安い深夜料金が適用されるため、さらに電気代節約に繋がります。
火災の危険も減少するので、総合的なメリットが次々に生じてきますね。
ちなみに、太陽光発電システムは、システム1kWあたりで年間に1000kWh程度発電します。
一般的な一戸建てだと4kW程度の容量があるとされているので、4000kWhを年間に発電することになります。
一般的な家庭電力消費量を約4500kWhとすると、太陽光発電システムを導入すれば、9割近く電力を節約し、ひいては電気代も安くなるというわけです。
メリット2:余った電力を電力会社に売れる
一戸建てで使われる電力量よりも、太陽光発電によって生じた電力量が上回った場合、電力会社に買い取ってもらうという余剰電力買取制度も魅力的なメリットですね。太陽光発電システムがあるからこそ、節電したくなります。
この制度によって、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が買い取らないといけなくなりました。
これには石油エネルギーに対しての依存を少なくし、CO2削減に向けて動き出そうという背景があります。
この再生可能エネルギーに対しての買取価格は、経済産業省より固定価格として毎年発表されています。
基本的に、非住宅用太陽光(10kW以上)よりも、住宅用太陽光(10kW未満)の方が買取価格は高くなっています。
平成28年度の買取価格は、住宅用太陽光で、31円/kWh(出力制御対応機器設置義務なし)という値段ですね。
1kWシステムあたりで年間1000kWhとすると、31円/kWhならば年間31,000円。
一般的な一戸建の発電量である4kWシステムであれば、全ての電気を売れば年間約12万円分にもなります。
メリット3:停電や災害時における非常用の電源確保
日常の電力消費を抑えることのできる太陽光発電システムですが、非常時においても役に立ちます。
システムに組み込まれているパワーコンディショナーを自立運転モードにすることで、外部から電気が供給されなくなっても、自立運転用のコンセントから、電気が使えるようになります。
ここで使える電気容量は通常であれば1500Wという上限があるので、自立運転だからと、いつもと同様に電気が使えるわけではありません。
特に大型の電化製品を使おうとする際には注意が必要ですね。
必要最低限のものだけ電気供給しましょう。
ただし、このシステムは蓄電できるわけではないので、電力を供給できない夜には使えません。
もしも停電した際に電気を使いたのであれば蓄電池を別途取り入れる必要が出てきます。
太陽光発電システムのみ導入している場合は、あまり頼りすぎないようにしましょう。
それでも、災害時に外部電力供給が完全ストップしてしまった状況を想定すると、日中だけでも電気が使えるというのは大きいでしょう。
メリット4:太陽光パネルを設置した下では、暑さや寒さを軽減できる
こちらはあまり知られていないメリットになりますが、太陽光パネルが設置された下部の空間(通常は最上階)においては暑さや寒さが緩和されるという効果があります。
例えば、暑さが厳しい夏場においては、太陽光がパネルによって遮られることによって、温度上昇を防いでくれます。
2~5℃程度まで温度が下がり、体感できるレベルで効果があります。
寒さの厳しい冬場においては、屋根からの放射冷却が抑えられ、温度が1~2℃程度上昇してくれます。
エアコンや暖房の設定温度も抑えられることで、電気代節約につながるでしょう。
メリット5:環境に優しい太陽光発電
我々の生活には欠かせない存在である電気は、通常は発電所で造られて、各家庭に送られてきます。
しかし、放射能リスクもある原子力発電や、有限である化石燃料を使う火力発電、周辺の水質や生態系に影響を与える水力発電など、各種問題を抱えているのが現状です。
ですが、太陽光発電は、地球に降り注いでくる太陽光という、いわば無尽蔵なエネルギーを利用しています。
そのため原料枯渇という心配もありませんし、火力発電のようにCO2(二酸化炭素)やNOX(窒素酸化物)、SOX(硫黄酸化物)といった大気を汚染させる物質が出てくることもありません。
環境に影響を及ぼすこともない、クリーンなエネルギーという事が言えます。
日射量を一定以上確保できれば、設置する場所候補が非常に大きいのもメリットと言えます。
さらに設置の際に排出物の心配もありませんし、特に騒音で周辺に迷惑をかけるという心配もありませんね。
太陽光発電のデメリット
電気代が軽減できるだけでなく、電力販売によって収益を得られる太陽光発電。さらに火災や停電時などのリスクも軽減でき、環境にも優しい。なんだかメリットしかないような気もします。
しかし、実際に太陽光発電を一戸建てにつけるには、きちんとデメリットについても知っておく必要がありますね。
これから、デメリットや気を付けるべき点についてご紹介します。
デメリット1:初期費用が高い
太陽光発電システムを取り入れるには、当然、初期費用というものがかかります。
導入規模はもちろん、システム導入を依頼する業者によっても価格は変わります。
実は太陽光発電システムを導入する際は、国や都道府県、地方自治体から補助金を得られるようになっています。
この補助金額や募集のタイミングも、それぞれで異なっています。
太陽光発電協会によれば2014年4月~2015年2月まで補助金交付申請をした案件における太陽光発電システムの導入費用は、新築で36.7万円/kWという価格になっています。
もし一般的に導入する容量である4KWシステムであれば、146.8万円というコストがかかることになりますね。
大きい設備である太陽光パネルのコストが締める割合が大きく、それ以外に各種機器や工事費が含まれます。
これはあくまで目安の費用なので、場合によってはさらにかかる場合も、安くなる場合もあり得ます。
設置の際は、一戸建ての屋根がどんな形か、そして周辺の状況などで工事費も上下します。
そして補助金を活用しなければ、コストはさらに上がることになります。
かなり高額な買い物になることは間違いないので、ローンを組む場合は金融機関の「ソーラーローン」を使います。
太陽光発電システムを導入して月々の電力消費を抑えたり、売電をしたりしたとしても、初期投資のコストを回収するためには、通常10年以上の期間がかかる計算になります。
デメリット2:太陽光発電システムは経年劣化する
初期費用を回収するためには、10年以上の歳月が必要と述べましたが、太陽光発電システムも時間が経てば経年劣化をしてきます。
もちろん、10年間使い続けたからといって激減するわけではありませんが、僅かずつ発電量が落ちていきます。
20年後にはもともとの発電量の90%程度、30年後になれば80%まで落ちてきます(パネルによっても変わります)。
耐用年数は比較的長いので、20年~30年まで動き続けてくれれば導入は大成功とも言えますね。
ただし、これも一般的な経年劣化のデータであるため、実際に導入するとどうなるかは、やってみなければわかりません。
また、機械である以上、内部要因、外部要因によって故障する可能性もあります。
初期投資を回収してから壊れてくれればまだ良いですが、災害などが原因で、導入して数年で壊れてしまうリスクも無いとは言い切れませんね。
デメリット3:昼間の電力消費量が多い家庭ではメリットが少ない
余った電気を高く買い取ってもらえるのが、この太陽光発電システムのメリットでもあります。
しかし、システムで発電した電力を、使い切ってしまうのが当たりまえという状況では、メリットはとても少なくなってしまいます。
お年寄りやペットが日中家にいて、エアコンを必ずつけていたり、単純に住む人数が多く、電力消費が多かったりすると、当たり前のようにシステム以上の電力を月々使うことになります。
さらに容量が小さなシステムを導入してしまうと、そもそも電力が余るくらい発電がでないことになります。
自分たちのライフスタイルが太陽光発電システムを導入するのに適しているかどうかは、導入前に考えておきたいところです。
デメリット4:工事の不備によっては雨漏りの危険性もある
太陽光パネルを設置する際には、屋根に穴を開けることになります。
太陽光パネルは架台に金具によって固定されますが、その架台を屋根に設置する際に屋根材や防水シートに穴を開ける必要が出てきます。
例えば、瓦屋根の一戸建てに太陽光パネルを設置する際、一時的に取り外した瓦を上手く元にもどせなかった場合、そこから雨水が浸みてきてしまうケースがあります。
こうした施工の際におこる不備には、知識のない素人では直後に判断ができません。
そのため、施工業者は慎重に選ぶようにしておきましょう。
自分たちの一戸建てと同様の建築物で太陽光発電システムを施工した経験があるかどうか?
雨漏りしないようにきちんと気を配ってくれるかどうかを予め確かめておきたいですね。
まとめ
太陽光発電システムを導入する際は、長期の構想をもって考えましょう。
確かに初期コストはかかりますが、設置できる環境や、一戸建てにおけるライフスタイルなどの条件さえ合っていれば、十分投資に値します。
家庭内での節電に対する意識も向上しますし、いざという時の災害対策としても有用ですね。
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