地下室のある家のメリット・デメリットは?費用やおすすめハウスメーカーから建築事例までご紹介!

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※この記事は「株式会社地下室 代表 井上様」による専門家監修記事です

地下室は、趣味の場所への利用、また狭小住宅に部屋を増やす方法として注目されています。

また、地下階付きの住宅が地震や竜巻のなどの災害に強く、あるいは地球温暖化対策として究極の省エネ有効であることが実証されています。

近年では、有事の飛翔物体から少しでも逃れたいがための方法として検討されている方も増えているようです。

では、実際に地下室のある家を建てることのメリットや費用、実際の間取り例などを詳しく解説したいと思います。

また、解説に入るまでに失敗しない家づくりで1番重要な事をお伝えします。

「夢のマイホーム」の実現に向けて、多くの人が住宅展示場を訪れたり、雑誌やウェブサイトで情報を集めたりします。

しかし、その一方で、家づくりを始める前に「知っておくべきだった…」と後悔する人が後を絶ちません。

理想の家を建てるためには、情報収集が最も重要と言っても過言ではありません。

しっかりと情報収集を行わずに安易に住宅メーカーを決めてしまった結果、取り返しのつかない後悔をしてしまう方は非常に多いです。

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それでは解説をしていきます。

  1. 地下室のある家のメリット4つ
    1. 1.狭小地でも「もうひとつ」部屋を持てる
    2. 2.地下室付き住宅は地震の時の揺れが半減する=地震に強い家になる
    3. 3.振動・音が外部に漏れにくく、外部からも入りにくい
    4. 4.夏涼しく冬暖かい省エネ空間を実現できる
  2. 地下室をつくるデメリットは?意外に知らない6つの疑問
    1. 1.地下室がジメジメしているのは、地中の水分がいつも室内に滲みこんでいるから?
    2. 2.ドライエリアを二つ造って風通しを良くすれば、結露は生じずカビも発生しない?
    3. 3.地下室はモノや食品の備蓄場としてふさわしい?
    4. 4.核攻撃を受けた時も地下室に避難できる?
    5. 5.今住んでいる住宅をリフォーム(リノベーション)して地下室を設けることはできるの?
    6. 6.地下室を自分でつくることは可能?
  3. 地下室の建築が得意なハウスメーカー3選
    1. 三菱地所ホーム
    2. ミサワホーム
    3. クレバリーホーム
  4. 地下室をつくる費用&内訳10項目
    1. 地下室をつくるときの費用&内訳
      1. 1.地盤の中を正しく把握するためのボーリング調査費用
      2. 2.上屋木造部分と鉄筋コンクリート造地下階部分それぞれの詳細な構造計算費用
      3. 3.鉄筋コンクリート造部分の実施設計図または施工図の作成費用
      4. 4.地山を安全かつ確実に掘削するための山留工事費用
      5. 5.掘削した大量の残土を搬出して処分する費用
      6. 6.地下室躯体から確実に地下水が浸入しないようにするための防水工事費用
      7. 7.一般的な木造住宅の床面積坪当たり建築単価に対し、鉄筋コンクリート造に替える坪当たり単価の増分
      8. 8.重機を使用する本格的工事を行うための安全管理、警備員、地盤養生、各種試験など仮設工事費用
      9. 9.夏季の結露を生じさせず、一年中快適な居室とするための断熱工事・除湿設備設置工事・全熱交換型換気設備工事
      10. 10.ドライエリアを設ける場合は、その設備機器工事費
    2. 【注意点】工事費用=「地下室+家」であることを確認
  5. 地下室を作るときの注意ポイント2つ
    1. 1.地下室がつくれない土地もあることを念頭に置く
    2. 2.浸水被害対策はしっかりと行う
  6. 地下室のある家を新築した建築事例4つ
    1. 1.東京都HS邸
    2. 2.東京都IK邸
    3. 3.東京都KD邸
    4. 4.東京都MT邸
  7. まとめ

地下室のある家のメリット4つ

地下室は、生活をより豊かにしてくれますし、家を災害に強くし省エネにもでき、これからの住宅の理想を具現化するものといっても過言ではありません。

では、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

1.狭小地でも「もうひとつ」部屋を持てる

土地の値段が高い、もしくは買えたとしても周囲の家が迫っていて土地そのものが狭かったり、接する道路や隣地との間に高低差があったり、敷地内に地盤の高低差がある等といった特徴のある敷地では、地下室付き住宅の建築がとてもコストパフォーマンスが良い場合が少なくありません。

利便性のよさやそのエリアの雰囲気が好みであっても、家の狭さを我慢することはありません。

地下室を設けることで「もうひとつ」部屋を持つことができます。

しかも、外部からの視線や騒音を気にせずにいられる「完全なプライベート空間」となりますので、プライバシーを重視される方が、趣味の部屋や寝室に用いることも可能です。

2.地下室付き住宅は地震の時の揺れが半減する=地震に強い家になる

地下室付き住宅は地震の時の揺れが半減する=地震に強い家になる

地震が起きると、地下室周囲の自然地盤がバネのような役割をして、揺れを相互に押し返すように働き、揺れを小さくする制振機能を発揮します。

そのため、地下室付きの建物は、地上階だけの建物に比べ揺れの大きさが半減します。

木造2階建ての場合、コンピューター・シミュレーションによって大凡60%も小さくなることが証明されました

地下室を建築することにより、家全体が地震に強い家になります。

異常気象の影響か、最近被害が頻発している竜巻や台風には、避難場所として地下室が最適です。

竜巻の多いアメリカの地方では、竜巻対策として地下室を併設していることが多いです。

3.振動・音が外部に漏れにくく、外部からも入りにくい

防振・防音材となる自然地盤で周囲を覆われている地下室は、振動や音を内外に伝えにくい特徴を持っています。

このメリットを活用していただきたいのは、「音楽を楽しみたい方」、「大音響で映画を楽しみたい方」「子どもをのびのび育てたい方」、「ジムやダンスなど体を動かしたい方」「近くを通る幹線道路の騒音や振動から逃れたい方」です。

せっかく自分専用の家を手に入れるのですから、自宅で楽しめることも増やしたいのではないでしょうか。

もしも振動や音でご近所さんにご迷惑をかけるのでは、と心配している場合は、地下室を設けることもひとつの手立てとなってくれます。

4.夏涼しく冬暖かい省エネ空間を実現できる

有効天井高2.4mの地下室を建築した場合、掘削深さに相当する地表面から3.2mの深さの地中温度は、年間を通しておよそ13℃~21℃の間(関東)でしか変化しません。

そのため地下室の室温は、エアコン等を作動させない状態でも夏は外気の日最高気温より3~10℃低く、冬は日最低気温より7~10℃高くなります。

そのため省エネで快適空間となり、地下室を主寝室としているユーザーも少なくありません。

さらにも外断熱の鉄筋コンクリート住宅とすれば、鉄筋コンクリートの熱を溜め込む能力を最大限活用できて、究極の省エネ住宅が実現します。

地下室をつくるデメリットは?意外に知らない6つの疑問

地下室建築については大学の建築科でもほとんど学ばないため、建築の専門家と言われている建築士でも、間違った思い込みが横行しています。

ましてや一般ユーザーにおいてはよく知らないという方がほとんどでしょう。

ここでは、地下室に関するよくある勘違いや特徴を見ていきましょう。

1.地下室がジメジメしているのは、地中の水分がいつも室内に滲みこんでいるから?

20年ほど前までの住宅用地下室は、室内に入ってくる地下水を二重床や二重壁の間で集水して、常にポンプアップするタイプの建築工法で建築するのが主流でした。

このタイプの地下室では、地下水の流れが常に躯体の室内側にあるので、標題の考え方は一部正解といえます。

しかし近年は、より水を通しにくい密実な鉄筋コンクリート等躯体の構築工法の開発や塗膜タイプの防水工法の進化により、一重壁・床の建築工法で建築するのが主流となりました。

その結果、地中からの水分の侵入についてはあまり心配しないでよい時代になっています。

地下室のジメジメ感は、夏の地下室室温が外気温度よりかなり低いために高温高湿の外気が地下室に流れ込んで、物理現象として結露が発生してしまうことによるものです。

2.ドライエリアを二つ造って風通しを良くすれば、結露は生じずカビも発生しない?

前題を読んでもう気づいた方もおられると思いますが、地下室がジメジメしていてカビ臭くなってしまう訳は、地下室のメリットである夏涼しいところに、高温多湿(湿度80~90%、気温30℃以上)の空気をそのまま送りこんでしまうことに起因しているのです。

湿度が80%の空気は、気温が3℃下がるだけで、空気中に水分を保持できない飽和状態になり、結露を起こしてしまいます。

その結露水を放置すれば数日でカビが発生することになってしまいます。

従って夏は、むしろ窓を閉めて高温多湿の外気をそのまま地下室に入れないことが、ジメジメしない快適な地下室にするための第一条件なのです。

残念ながら、温暖湿潤気候区分に属する日本本土等の気象条件では、機械的な力を借りないと快適な住空間としての地下室となりません。

すなわち、

  1. 湿った外気を直接入れないための全熱交換型の換気扇の設置すること
  2. 階段開口やドライエリアの窓から流入してしまった外気の水分や室内で生じる水分を除去する除湿設備を常備すること
  3. 夏に極端に冷たくなる躯体面を作らないための必要最小限の断熱を施すこと

がジメジメしない快適な地下室を造るための3条件となります。

3.地下室はモノや食品の備蓄場としてふさわしい?

地下室はモノや食品の備蓄場としてふさわしい?

地下室は、夏は涼しく冬は暖かいうえ、年間を通して温度の差がさほど大きくありません。

さらに気密性もよいので、室温や湿度のコントロールも比較的容易です。

このことから海外ではワインセラーとして活用されますし、漬物や手作り酵素などの発酵食品を長時間醸すにももってこいです。

しかしながら、モノや食品の備蓄用に地下室を建築するなら、その全部を備蓄用にするか備蓄空間を完全に区分しなければなりません。

例えば、ワインセラーとしたいなら、室温を18℃、湿度を60~80%に保つ必要があります。

穀粒貯蔵なら、室温を15.5℃、湿度を35~40%に保つ必要があります。

そのような空間は、残念ながら住空間としては快適ではありません。

4.核攻撃を受けた時も地下室に避難できる?

永世中立国であるスイスでは、自宅に核シェルターを建築することを国を挙げて推奨し、補助金も出しています。

しかし、その補助対象となる核シェルターには、例えば次のような条件が必要とされています。

  1. 核爆発後、放射能の直接的影響がなくなるまでの1週間ほど、そのシェルターに籠ることが出来るような水、食料等を備蓄できること
  2. その間、放射能に侵されていない空気を吸えるような機能のある放射能除去機を備えること
  3. その間、外気と遮断できるような鉛入りの厚い扉が設置してあること

などなど、かなり厳しく費用もかなり掛かる条件です。

一方、日本における一般的住宅用地下室では、地上階と自由に行き来できるように階段やガラス窓などの大きな開口があり、放射能対応できるような密閉状態とは程遠い状態です。

日本で放射能対応できるシェルターの建築を目指すなら、それ専用に建築し、普段は備蓄倉庫程度の目的にしか使えそうもない地下室となります。

ただし、素人ながら通常兵器での爆風などに対する一時避難場所としては、住宅用地下室は有効と考えられます。

5.今住んでいる住宅をリフォーム(リノベーション)して地下室を設けることはできるの?

もしも、今住んでいる家に地下室が欲しくなったとき、どうすればよいのでしょうか?

残念ながら、「地下室の後付け」は、最近改正された建築基準法のもとでは非常に難しくなってしまいました。

なぜならば、多くの木造住宅は建築士の判断のもと、構造計算が省略されていたり簡易化されている一方で、地下室増築には木造と鉄筋コンクリート造の混構造として厳格な構造計算が必須となります。

その構造計算を行うと地上木造建物が部分的な強度不足等のために現行建築基準法に適合していない「既存不適格住宅」と判断されてしまう可能性が高いからです。

  • 建築基準法改定後のここ数年以内に建築したもので
  • かつ実施図面がきちんと残されていて
  • かつ木造部の構造計算を行って建築確認申請した物件

であれば、再設計を行って地下室を既存建物の下に追加建築することが可能なケースもあると考えられます。

建築確認申請上も問題をクリアしてもさらに、地下室の追加建築には、既存建物をリフトアップしたうえで掘削残土を横取りして搬出する作業に必要十分なスペースがあり、かつ既存建物が持ち上げる作業に耐え得るような強度があるという物理的な条件が必要となります。

現在の住宅が、敷地の建蔽率や容積率に対して余裕があり、かつ庭や駐車場として利用している空きスペースがある場合には、そのスペースに独立した地下室(入り口となる玄関と階段スペースのための地上塔屋付き)を建築することは可能です。

ただしこの場合も、既存建物の基礎から1m程度以上離れ、隣地か境から0.5m程度以上離れたスペースであること、重機や工事車両がそのスペースに容易に侵入できることなどの物理的条件が必要です。

6.地下室を自分でつくることは可能?

地下室をDIYで作ろうとする方も中にはいらっしゃいますが、現実的ではありません。

地下室を作るにはここまで説明してきたように、安全面や快適性においても高度な技術を必要とします。

簡易的であっても地下室を作りたいのであれば、専門の業者に相談することをオススメします。

地下室の建築が得意なハウスメーカー3選

地下室を作るときは、地下室の建築実績が豊富な業者に依頼する必要があります。

ここでは、地下室がある住宅建築を多く手掛けているハウスメーカー3社をご紹介します。

三菱地所ホーム

三菱地所ホームは「エアロテック」という室内機で、24時間365日キレイな空気を保ってくれる技術を持つハウスメーカー。

全館空調システムなので、湿気がこもりがちな地下室でも常に快適な温度、湿度、空気を保ってくれます。

土地を最大限に活用して作るマイホーム建築に定評があり、地下室のシアタルームやジムの建築実績も豊富です。

会社概要

会社名 三菱地所ホーム株式会社
所在地 東京都新宿区新宿6-27-30 新宿イーストサイドスクエア7階
URL(地下室掲載ページ) https://www.mitsubishi-home.com/custom-home/lineup/rooftop-basement/

ミサワホーム

「蔵のある家」で有名なミサワホームは、デッドスペースを活用して空間を最大限に生かす設計が得意なハウスメーカーです。

地下室であっても採光や風通しの良さを考えておこなう設計力で、リビングルームを地下室にもってくるという大胆な間取りも実現しています。

ホームエレベーターを開発した先駆けの会社であるミサワホームは、「縦」の空間設計がうまく地下室の建築実績も豊富です。

会社概要

会社名 ミサワホーム株式会社
所在地 東京都新宿区西新宿二丁目4番1号
新宿NSビル
URL(地下室掲載ページ) https://www.misawa.co.jp/kodate/ziturei/detail/74

クレバリーホーム

デザイン力の高さが魅力のクレバリーホームも、地下室の建築実績が豊富なハウスメーカーです。

珪藻土などの自然素材をつかった湿気対策や、水取り不要ルームドライヤーの併設によって地価のジメジメをなくした快適空間を実現。

狭小地、3階建て、二世帯住宅での地下室を提案するなど、アイディアも豊富です。

会社概要

会社名 株式会社クレバリーホーム
所在地 千葉県君津市東坂田4丁目3番3号 4階
URL(地下室掲載ページ) https://cleverlyhome.tokyo/chikashitsu/

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地下室をつくる費用&内訳10項目

地下室が欲しい場合の費用は?

地上だけの木造住宅を建築する場合に比べ、付帯する地下室を建築する場合に特別に必要となる費用項目は次の通りです。

地下室をつくるときの費用&内訳

一般的に、地下室は地上の建物よりも費用が高くなります。

坪単価にすると90万円~150万円程度。

具体的にどのようなことに費用がかかるのか、内訳を見ていきましょう。

  1. ボーリング調査費用
  2. 構造計算費用
  3. 設計費用
  4. 山留工事費用
  5. 残土処分費用
  6. 防水工事費用
  7. 鉄筋コンクリート造による坪単価の高騰
  8. 仮設工事費用
  9. 断熱や除湿の工事費用
  10. ドライエリア設置費用

1.地盤の中を正しく把握するためのボーリング調査費用

地上階だけの住宅で一般的に行われるSWS簡易地盤調査(スウェーデン式サウンディング試験)では、土の種類や土質、正確な土の強度、正確な地下水位の状況が判りません。

そのため、ボーリング調査と土質強度試験等が必須となります。

敷地状況により25万円~35万円(税別;以下同)掛かります。

2.上屋木造部分と鉄筋コンクリート造地下階部分それぞれの詳細な構造計算費用

一般的な木造住宅では、構造計算が省略又は簡略化することが法律で認められているためあまり費用が掛かりません。

しかし、鉄筋コンクリート造の地階部分で30~45万円程度、木造の地上階部分で20~30万円程度の構造計算と構造設計図作成費用が追加で掛かります。

3.鉄筋コンクリート造部分の実施設計図または施工図の作成費用

標準仕様化が進んでいる木造では、特殊な形状や独特の仕様を用いない限り、細部に及ぶ詳細な実施設計図面や施工図面を物件ごとに作成する必要性が少なくなっています。

しかし、鉄筋コンクリート造では、設備配管の小さな穴一つでも、工事が始まってから変更することが容易でないために、詳細な実施設計図や施工図が必須となります。

木造部分と鉄筋コンクリート造部分の接合部の形状設計には綿密な計画が必要です。こ

れらの費用として、やはり30~80万円程度の費用が掛かります。

4.地山を安全かつ確実に掘削するための山留工事費用

有効天井高2.4mの地下室を造るには、一般的に3.3m程地盤を掘削し、鉄筋コンクリートで躯体を建築するまでの間、周囲の地盤が崩壊したり沈下したりしないような山留(通常は6~7mのH形鋼を1m程度の間隔で事前に打設し、間に松矢板をはめ込みながら安全に掘削するための仮設壁)工事をしなければなりません。

一般的な12.5坪の地下室を、典型的な関東ローム層地盤で建築する場合、およそ200万円前後の工事費が掛かります。

5.掘削した大量の残土を搬出して処分する費用

東京近郊では、一般的にあまり道路が広くないうえ、遠方まで残土を搬出して処分する必要があるため、残土処分費が馬鹿になりません。

例えば12.5坪の地下室を建築するには、160立方メートル程の残土の搬出処分費用は、およそ200万円前後となります。

6.地下室躯体から確実に地下水が浸入しないようにするための防水工事費用

鉄筋コンクリート躯体そのものの水密性を高めるために、特殊な工法を採用したり、硬化コンクリートを改質する努力がされています。

一方で、もしもの施工ミスや不良を考え、アスファルトやウレタンを原材料とした膜タイプの外防水を併用しています。

例えば、特殊先附アスファルト吹付工法を採用した12.5坪の地下室の場合、その工事費はおよそ80万円前後となります。

7.一般的な木造住宅の床面積坪当たり建築単価に対し、鉄筋コンクリート造に替える坪当たり単価の増分

木造に比べ鉄筋コンクリート造では高強度・高耐久を特徴としているため、材料費・仕上げ費さらに現場での作業費が高くつき、建物躯体そのものの基本単価が高くなってしまいます。

これまでの私の経験では、坪単価で30~50万円ほどアップになるようです。

8.重機を使用する本格的工事を行うための安全管理、警備員、地盤養生、各種試験など仮設工事費用

これらの費用増分は、7の坪単価に含まれます。

9.夏季の結露を生じさせず、一年中快適な居室とするための断熱工事・除湿設備設置工事・全熱交換型換気設備工事

例えば12.5坪の地下室の場合、断熱工事費がおよそ35万円、除湿機とその除湿水を自動排出する設備費がおよそ45万円(ドライエリアがあり、そこに自動排水できる場合は5万円程度)、全熱交換型除湿設備費が15~25万円程掛かります。

10.ドライエリアを設ける場合は、その設備機器工事費

サッシ、雨水集水用のピット、雨水排水用のポンプシステム、タラップ、グレーチング蓋などの費用が一式で、おおむね150万円程掛かります。

以上もろもろの費用を考えると、12.5坪(ドライエリアなし)の一年中快適な地下室を建築するには、1250万円、プラス内装仕上げ工事費等100~200万円程度(間仕切りや建具、フローリング等の量や仕様による)が必要になると考えられます。

【注意点】工事費用=「地下室+家」であることを確認

地下室の総建築費について、最後に歯切れの悪い言い方になってしまったのは、上屋建物も含めた住宅全体の工事費(例えば電気工事など)や経費の地下室建築費への含め方が、建築業者や住宅メーカーによって異なるため、施主に最終的に提示される金額も様々であるからです。

地下室建築工事費の区分として施主に提示される工事範囲もまた、建築業者によって様々です。

他社と比べて「高いなあ」と感じて内容を聞いてみると、木造上屋の基礎工事費用まで含んでいたり、「安いなあ」と思っていたら、地階の躯体コンクリート工事のみを地下室工事分として提示していた、ということがよくあるようです。

要は、地下室付き住宅全体としての工事金額で高いか安いかを判断することが肝要、とアドバイスさせていただきます。

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地下室を作るときの注意ポイント2つ

地下室を設置する際の注意ポイントをまとめました。

1.地下室がつくれない土地もあることを念頭に置く

地下室を作るには地盤調査が必須です。

その結果、土地の状況によっては地下室を作ることが不可になる以下のようなケースがあります。

  • 下水道管など障害物がある
  • 水脈がある
  • 地下の水位が地下室よりも下の位置にあるか
  • 地盤が弱い
  • 法的に制限がかかっている

このような場合は、地下室を作ることが難しくなります。

地盤が弱い場合は、地盤補強工事をすることでカバーできることもありますが、費用がプラスでかかってきます。

地下室の建築を考える場合は、十分に施工実績がある業者に相談することも大切です。

2.浸水被害対策はしっかりと行う

地下室で一番懸念されるのは、大雨時の浸水被害です。

近年は大型台風やゲリラ豪雨など、想定を超える雨量が発生することもありますから、雨水対策はしっかりと行いたいポイントです。

外からの流れ込む雨水だけでなく、短時間で大量の雨水が水道管に流れ込むことで水が逆流してしまい地下室の水回りから下水が噴き出すこともあります。

あらかじめ地域の水害マップも確認し、水害が発生しにくい土地に建築することも重要です。

地下室のある家を新築した建築事例4つ

ここで、地下室のある家を新築した事例を4つご紹介しましょう。

1.東京都HS邸

図1

外壁は、外断熱のうえ、耐久性の高いウッドブリース左官仕上げ

  • 敷地面積:36坪
  • 建物の規模:地下1.5階、地上1.5階、延べ床面積;62.8坪、ビルトインカーポート含む
  • 建物の主な仕様:地階は内断熱、地上階は外断熱の壁式鉄筋コンクリート造
  • 建築費用:約7700万円(システムキッチンは別途工事、消費税別途以下同)
  • 地盤調査・企画設計費用:710万円
  • お施主様の希望:災害に強く、省エネで、50年~100年住み続けられる家
図2

床は、全て間伐杉30mm厚の無垢板

図3

リビングダイニングの天井には、数十年先の照明や設備配線変更等が容易なコンソールボックス法式を採用

図4

掘りごたつ付き琉球畳の和室コーナー

図5

地階のシャワールーム

図6

地階に主寝室。右側はドライエリアの窓

図7

地階の趣味室。写真奥は、階段室・納戸を挟んで主寝室の入り口

図8

家族構成やライフスタイルが変わっても容易に間取り変更や用途変更できるように、照明・電気配線や設備配管は、露出したコンソールボックスに収めた

2.東京都IK邸

図9

旗竿敷地で、接道間口は2m。工事中は、隣家の協力を得て中央門扉柱を仮撤去して工事車両の進入を可能とした。屋上からの眺めは最高

  • 敷地面積:19.3坪
  • 建物の規模:地下1階、地上2階、延べ床面積;28.9坪、別途2階にロフト、屋上テラスあり
  • 建物の主な仕様:地階は内断熱、地上階は外断熱の壁式鉄筋コンクリート造
  • 建築費用:約4700万円(地盤改良費含む、消費税別途以下同)
  • 地盤調査・企画設計費用:540万円
  • お施主様の希望:狭い土地に最大容積を確保、災害に強く、省エネの家、地階は間仕切りのない部屋で一番広い自由スペース
図10

オーバーハングの下は、駐車スペース

図11

ロフトへは、取り外し可能な梯子で。ロフトから屋上に出られ、ご主人が日がな一日を過ごす予定の部屋とののこと

図12

階段の上の天窓からは、北側からの常に柔らかな陽射しが届く、ダイニングキッチン

図13

この家で一番広い地下室、床仕上げから先はご主人のDIYで仕上げ。どんな部屋に仕上がるか楽しみです。

3.東京都KD邸

図14

庭造りはこれから。右手奥の出っ張りは茶室の窓部

  • 敷地面積:49.8坪
  • 建物の規模:地下1階、地上2階、延べ床面積;59.4坪
  • 建物の主な仕様:地階は内断熱、地上階は外断熱の壁式鉄筋コンクリート造
  • 建築費用:約7400万円(消費税別途以下同)
  • 地盤調査・企画設計費用:750万円
  • お施主様の希望:災害に強く、省エネで、50年~100年住み続けられる家、地階にはミニコンサートができる広い音楽ルーム
図15

地下室には、奥様のピアノがあり。ご主人はバイオリン、娘さんと合わせてミニコンサート開催予定。ピアノの上は、将来のピアノ搬出入口を兼ねた天窓があり、常に間接的に光が差し込む仕組み。手前の広いスペースは、ご主人の趣味である鉄道模型とジオラマが展開される予定

図16

1階には、障子で囲まれた和室がある。1階の壁は、和室に合わせてすべて漆喰壁を採用

図17

右手奥の障子を上げると中庭が見える。左奥の床に見えるのが、地階の天窓

図18

2階の階段上がり場付近。床は、無垢で30mm厚の間伐杉材で、クリア塗装仕上げ

図19

1階フロアーにある強化ガラスの地階天窓

4.東京都MT邸

図20

カーポートの下は、地階ドライエリアのグレーチング。2階の階高がのっぽに見えるのは、娘さんがアトリエとして使う中間階(天井高1.4m)と2階、それに娘さんが寝室として使う屋根裏ロフトの3層が納まっているため

  • 敷地面積:26坪
  • 建物の規模:地下1階、地上2階、延べ床面積;35.9坪、2階にロフト、中2階にアトリエロフトあり
  • 建物の主な仕様:地階は内断熱、地上階は外断熱の壁式鉄筋コンクリート造
  • 建築費用:約4300万円(消費税別途以下同)
  • 地盤調査・企画設計費用:540万円
  • お施主様の希望:災害に強く、省エネで、50年~100年住み続けられる家。中2階にアトリエスペースがある家。狭い家を広く感じさせる家
図21

連装の窓がこの家の顔

図22

1階のダイニングキッチンには、部分的ではあるけれど吹き抜けがあり、高い窓から陽射しが差し込み、狭い面積ながら広さを感じさせる工夫。窓下は、床材と同じ30mm厚無垢間伐杉材で造ったベンチ

図23

中2階のアトリエスペースと階段。階段は吹き抜けで、連装の高窓から光が一杯入り、これも部屋を広く感じさせる工夫の一つ

図24

連装の高窓前の廊下は、くつろぎスペース

図25

地階のドライエリアのドアを開けたところ。階段を挟んで右手には、施主ご夫妻の主寝室がある

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まとめ

地下室は、そのつくり方によって様々な役割を担う場所となってくれます。多くのメリットとは裏腹に、地下室はまだまだ“一般的”とは言えないのが現状です。

地下室のメリットと工夫すべきポイントなど事前に知っておくことで、より良い「地下室のある家」を手にすることができます。

 

今回ご説明した地下室にまつわるお話の中で、特に覚えておいていただきたいのは以下の5ポイントです。

  1. 地下室は、狭い土地で床面積を多く取れる、地震に強い、振動・音の問題を低減させる・省エネの点で優れている。静かで安全なスペースを設けたいときに便利
  2. 地下室への“勘違い”が横行している。湿気による結露・住空間には適していないなどが代表だが、地下室の用途に応じた設備を設ければ問題はクリアできる
  3. 核攻撃への不安から地下室へ注目が集まっている。シェルターとしての使用は不可だが、「爆風からの一時的な避難場所」としてなら有効
  4. 地下室の“後付け”は基本的に不可能。しかしながら、築年数がほんの数年、実施図面が残っている、リフトアップしても問題のない強度の家などの好条件が重なれば可能
  5. 家を建てる際に地下室を設ける場合、追加の費用は12.5坪で1,350万円~。業者によって金額の提示方法に差があるので、「家+地下室」のトータル金額であるかどうかをチェック





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