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設計者:木村哲矢さん
少子高齢化が私たち市民に与える影響には、大きく2つのものがあります。
- 受け取れる年金額の減少
- 親の介護によって離職をせざるを得なくなるケース
―です。
厚生労働省が発表した「平成23年雇用動向調査の概況:結果の概要」では、女性が介護という理由により離職せざるを得なくなった年齢が55~59歳で最も高くなっているとされています。
30代で家を建てたとして、この頃にはそろそろ住宅ローンも終了しリフォームを考え始める頃かもしれません。
また、二世帯住宅として建て直しを考えられるケースもあるでしょう。
介護をする側もそろそろ体力面でムリがきかない年代となっていることから、家の機能に「介護を助けてもらう」必要があるでしょう。
もしくは、まだまだ若い世代で家を建てるとしても、後の介護リフォームを極力避けるために、初めからバリアフリーを意識した家づくりをしたいと考えられる方もいらっしゃるかもしれません。
「介護しやすい家」とはどのようなものでしょうか。
各居室ごとに気を付けなくてはならないポイントがあります。
その、それぞれのポイントをおさらいしておきましょう。
なお、親との同居がこれからの方は「親と同居するまでの3ステップ+2つのことの話し合いで無理なく暮らす!」を読むことをおすすめします。親と同居するメリット・デメリット、計画面について記載されています。
また、解説に入るまでに失敗しない家づくりで1番重要な事をお伝えします。
「夢のマイホーム」の実現に向けて、多くの人が住宅展示場を訪れたり、雑誌やウェブサイトで情報を集めたりします。
しかし、その一方で、家づくりを始める前に「知っておくべきだった…」と後悔する人が後を絶ちません。
理想の家を建てるためには、情報収集が最も重要と言っても過言ではありません。
しっかりと情報収集を行わずに安易に住宅メーカーを決めてしまった結果、取り返しのつかない後悔をしてしまう方は非常に多いです。
家づくりで失敗しないために、そして、あなたの理想を叶える家を建てるために、ぜひ活用していただきたいのが「一括資料請求サイト」です。
一括資料請求サイトを利用すれば、複数の住宅メーカーの資料をまとめて取り寄せることができます。
家づくりのプロが厳選した優良企業ばかりなので、安心して利用できます。
「でも、資料請求って面倒くさそう…」
そんな忙しいあなたも、隙間時間で簡単に情報収集を進めることができるように、今回はスマホから1分で出来るサービスを2つご紹介します。
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家づくりは、多くの人にとって、人生で一度きりの大きなイベント。
だからこそ、後悔のない家づくりを実現するために、まずは情報収集から始めてみましょう!
今回ご紹介した一括資料請求サイトを有効活用して、あなたにぴったりの住宅メーカーを見つけてくださいね!
きっと、あなたの夢を叶える、素敵な家との出会いが待っています。
さあ、理想の住まいづくりを始めましょう!
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それでは解説をしていきます。
1.バリアフリー(フラットな床)
床を極力段差のない状態にしておくことは、最終的に車いすの使用を余儀なくされた際にとても有利に働いてくれます。
介護を受ける方の居室周辺にトイレ・お風呂など必要なモノを集中できればベストですが、もしも全てを満たすことができなかった場合、この動線さえフラットであれば移動の苦痛をかなり軽減することができます。
これは、何も介護だけでなく、子育て世代や妊婦さんがおられる頃にもかなりのメリット。
日々の暮らしの中でケガを避けるためにも、とても大事なポイントです。
ちなみに、高齢者のケガの原因で最多は家の中での転倒によるものです。
この転倒をきっかけに、寝たきりになってしまうこともあります。
親御さんの面倒を見ることが予測されている場合は、まずこの段差の解消を最初に考えたいところでしょう。
2.介護される方のお部屋
介護をする方が常にいらっしゃるエリアはどこでしょうか。
キッチンから見渡せるリビングダイニングかもしれません。
メインに介護をする方の滞在時間が多い場所から見通せる位置に、介護を受けられる方のお部屋があればベストです。
見守りがしやすいのと同時に、介護を受けられる方の声かけにも気づきやすいからです。
相互の安心のために、この位置関係はとても大切なこと。
また、既に日頃から車いすを利用されている場合でしたら、庭など外部へ直接アプローチできるスロープを付けておくことをおすすめします。
通院などのお出かけの際に車への移動が楽であると同時に、火事や地震などいざという時の脱出にも役立ってくれるからです。
特に介護を受けられる方が常におられるお部屋は、出入り口が複数あることが第一条件です。
介護を受けているということは、ご自分一人での移動が難しいということ。
何らかのトラブルからそのお部屋を抜け出せなくなってしまっては大変です。
3.お風呂
介護しやすい家という点で、もしかすると一番最初に思いつくのがこの「お風呂」ではないでしょうか。
お手伝いすることでご入浴が可能なうちは、極力床面からの立ち上がりが低い浴槽でもよいですが、全面的なお世話が必要になるかもしれないことを考えた時にはバスリフトの導入という選択肢もあります。
廊下とバスルームの床面がフラットであること、入り口を広く取ることで車いすでの入浴が可能です。
入浴用の車いす(水回り用車いす)もありますから、まずは出入り口を広く取るようにしましょう。
車いすから浴槽へ効率よい移動を手助けしてくれる「トランスファーボード」と呼ばれる商品もあります。
車いすやトランスファーボードを利用するためには、介護を受ける方・介護をする方の最低でも二人が自由に動き回れるだけの広さが必要です。
4.トイレ
トイレも、介護をする方・される方のお二人で動けるだけの広さが必要な場所です。
想像していただければすぐにわかる通り、奥行きではなく幅がとても重要なポイントとなります。
また、介護を受ける方の腕を首に回してもらい、介護する方が中腰になることでトイレに座ってもらうこととなりますので、介護をする方の腰への負担はかなりのものとなります。
介護をする方にとって、この時手すりはとても大事な手助けグッズとなってくれます。
介護を受ける方がまだご自分で立ったり座ったりが可能な時は、便座そばにセットできる手すりで大丈夫です。
または、便座自体が電動で昇降する「トイレリフト」をつけることで、ご自分で用を足すことも可能かもしれません。
介護される方にとっては、入浴よりも更に「恥ずかしさ」が伴うトイレですから、介護の段階に応じて極力多くのバリエーションに応えられるような設計にしておく必要があるでしょう。
お部屋で用を足さなくてはならなくなった場合には、カンタンな工事でOKなお部屋置き用の水洗トイレも発売されています。
5.玄関
手助けをすることで歩けるうちは、介護を受けるご本人もご自分で歩きたいというご希望があることでしょう。
そのためには、出入り口となる玄関にも工夫が必要です。
外部からのアプローチにはスロープを設け、玄関の土間部分から廊下への立ち上がり高を極力低く抑える、脇で支える介護する方・介護される方の最低でも二人がラクラク移動できるだけの幅を見込んでおかなくてはなりません。
靴を履くために一時的に腰かける椅子があるとなお便利です。
車いすでの移動になってしまった時は、外部から土や砂を家に持って入らないよう、車いすのタイヤのお掃除がしやすいような工夫も必要かもしれません。
玄関わきに設けたスロープ部分に水道を引いておくなどの手当ても含まれるでしょう。
6.設備・家具と車いすの関係
本格的な車いす生活に入った時のことをきちんと考えておかなくてはならないことの一つに、家具と車いすの高さの関係です。
意外と見落としがちなポイントでありながら、毎日の生活に直結する問題ですので、設計段階できちんと相談しておかなくてはなりません。
ご自宅で介護をされることの目的は、「できるだけ家族と過ごす時間を大事にしたいから」―であるはずです。
それなのに、キッチンや洗面台、ダイニングテーブルに入り込みづらいのがこの車いす。
出来ることは自分でしたい、家族と一緒に食卓を囲みたい…という希望を持っていても、設備や家具の問題からこの夢がかなわないのではとても残念です。
造作家具・設備をオーダーしたい場合は、この車いすの高さをしっかりと考え合わせてもらいましょう。
作り方によっては、洗面台の下部を排水パイプのみにすることで、車いすでも使いやすい洗面台を実現することができます。
電動昇降式のキッチンもありますので、体調の良い日は一緒にお料理といった暮らしもできるかもしれません。
これらは、出来合いの設備・家具ではカバーできない部分ですから、建築家もしっかりと相談に乗ってくれることでしょう。
介護と言っても状態は様々―だからこそ建築家の知恵を
「介護しやすい家」といっても、人それぞれに状態が違うだけに、取り組み方もそれぞれです。
また、症状(状態)も固定ではなく、これから先の状態を見越した家の作り方をしなくてはなりません。
そういった意味では、より専門的な見地からのアドバイスが必要となるのが、介護を前提とした家です。
必要に応じ、こまめに手を入れられる「素地」があってこそ、アレンジが利く家となるのです。
このフレキシブルさの範囲が広ければ広いほど、快適な介護生活に繋がります。
介護しやすい家は、単に介護だけでなく、お子さま・妊婦さんにも、思わぬケガで松葉づえや車いす生活を一時的に余儀なくされる時にもとても有利な家です。
ご家族が一緒に長く住む家、それだからこそ機能美と呼ぶべき特別な美しさが求められるのです。
これこそ、建築家の得意とする「型にはまらない家」と言ってもよいでしょう。
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