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外壁塗装をDIYで行いたいと考えたとしても「どんな道具が必要なのか」「注意点はあるのか」と悩んでしまうでしょう。
この記事では、外壁塗装をDIYで行う際に必要な情報を、外壁塗装の資格を持っている元プロが解説します。
具体的には、
- 外壁塗装のDIYにかかる費用
- DIYで行う場合の工事期間
- DIYと業者はどちらが得なのか
- 外壁塗装をDIYで行うために必要な道具と手順、トラブル例
をまとめています。
読むことで外壁塗装のDIYのメリットやデメリット、作業方法がわかるでしょう。
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外壁塗装をDIYで行う際にかかる費用と工期
30坪程度の住宅の場合、外壁塗装のDIYにかかる費用は20〜50万円程度です。
業者に依頼する場合は70〜100万円ですから、半額程度の費用で済むでしょう。
一方で、工事期間は毎日4時間の作業をしても3ヶ月〜半年程度です。
業者に依頼する場合は2〜3週間程度と考えると、5倍以上の日数がかかります。
DIYで日数がかかる理由は3つあります。
- 業者は2〜3人で作業をするが、DIYは1人が多い
- 週40時間の作業をする業者に対して、DIYは1日あたりの作業時間が少ない
- 業者は高度な技術を持っているが、DIYはインターネットで調べる程度の知識しかない
費用は抑えられるものの、手間と時間が必要となるのがDIYによる外壁塗装です。
外壁塗装をDIYと業者のどちらが得かを判別する方法
あなたの家はDIYと業者のどちらが適しているかを判別する手段があります。
それは、DIYのメリットとデメリットを把握することです。
メリットがデメリットを上回ると考えるのであればDIYを選ぶとよいでしょう。
メリット | デメリット |
・費用が安くなりやすい
・好きなデザインにできる
|
・業者の5倍以上の時間がかかる
・手間がかかって疲れる ・剥がれやすくなる ・トラブルが起こりやすい |
費用の安さを重視する人はDIYが向いています。
一方で、外壁塗装の耐用年数や品質を求める人には業者依頼が適しているでしょう。
DIYで外壁塗装を行うメリット
外壁塗装をDIYで行うメリットは、費用が安くなりやすい点です。
DIYには人件費がかからないため、業者に依頼するよりも半額程度で工事が可能となるでしょう。
また、DIYでは自分の好きなように塗装ができます。
塗装で独特な模様を描きたい場合、業者に依頼すると手間賃が高額となりますが、DIYであれば自分でデザインすればいいだけです。
DIYで外壁塗装を行うデメリット
デメリットは、時間と手間がかかる点です。
業者に依頼するよりも5倍以上の時間がかかりますし、会社から帰ってきて塗装作業をするとなれば苦痛に感じることが多いでしょう。
それであれば、休日だけDIYを行うという方法もあります。
しかし、休日に8時間作業をしたとしても完了するまでに半年〜1年は必要でしょう。
DIYの大きなデメリットに、塗装が剥がれやすくなるという点があります。
外壁塗装は国家資格があるほど高度な作業です。
インターネットや本で調べた程度の知識では、塗料の性能を完全に発揮することは難しいでしょう。
一般的に使うシリコン塗料の寿命は10〜15年程度ですが、DIYだと1年で剥がれてしまうおそれがあります。
1年で剥がれてしまうと次からはDIYをしようとは考えなくなり、業者に再塗装を依頼するでしょう。その場合、DIYを行った費用が無駄となります。
最初から業者に依頼すればよかったと考えるでしょう。
仮に塗装作業が成功して長持ちしたとしても耐用年数は7〜8年程度となる可能性が高いでしょう。
また、DIYで作業を行うと業者に依頼する場合に比べてトラブルが起こりやすくなります。
よくある例としては、
- 近隣住民から臭いの苦情が来る
- 塗料が隣家の車や壁に飛んでしまう
があります。
業者は塗料の飛散や臭い対策に対してノウハウがあるため対処してくれます。
しかし、DIYで上記のトラブルを完全に防ぐことは不可能です。
特に塗料の飛散は、1滴でも飛んでしまうと車や壁の賠償金を請求されるため、DIYで行なったのに業者に依頼するよりも高額な費用がかかる危険性があります。
このように、DIYだから業者よりも費用が必ず安くなるとはかぎらないのです。
外壁塗装をDIYで行うための準備と作業手順
DIYで外壁塗装を行うために必要な準備と作業手順を知っている人はほとんどいないでしょう。
実際に筆者が塗装職人として働いていた経験をもとに、必要な道具や作業手順を解説していきます。
外壁塗装に必要な道具
外壁塗装で必要な道具は以下となります。
- 汚れてもいい服装
- 軍手
- 足場
- 養生シート
- 高圧洗浄機
- コーキング剤
- コーキングガン
- マスキングテープ
- マスカー(テープとビニールが組み合わさった道具)
- 革(かわ)すき
- 紙やすり
- ゴミ袋
- 刷毛(ハケ)2本
- ローラー2本
- 塗料を入れる容器2つ
- 容器に入れるネット2つ
- 下塗り塗料
- 中塗り・上塗り塗料
- 付帯部用の塗料
- ゴミ袋
上記の道具はホームセンターでほとんどが揃うでしょう。
溶剤系の塗料を使う場合は塗料用シンナーが必要な場合もあります。
では、それぞれどのような基準で選べばよいのでしょうか。
体を守る道具
「汚れてもいい服装」とは、捨てても構わない衣類を指します。
塗料は衣類や靴に付くと落ちません。
このため、捨てても構わない、動きやすい服装や靴を選びましょう。
「軍手」は作業をするうえで必要です。
無くても作業は可能ですが、塗装以外の作業もあるため手が荒れます。
「足場」は外壁塗装に不可欠です。
ハシゴや脚立で作業しようと考える人もいますが、足場を使わないと作業速度が遅くなるうえ、点灯する危険があります。
住宅の構造によってはハシゴや脚立では届かず塗装できない場所もあるでしょう。
足場はDIYで設置ができません。
10〜20万円程度かかりますが、必要な道具のため業者に設置を依頼しましょう。
下地を整える道具
足場を設置したら養生シートを張って外壁の洗浄をします。
養生シートは足場業者に依頼するとよいでしょう。
外壁の洗浄では「高圧洗浄機」を使います。
ホームセンターに行けば2万円程度で購入できるでしょう。
洗浄後は養生とコーキングを行います。
養生とは、塗らない場所に塗料がつかないよう保護する作業です。
出典:ナカヤマ彩工
コーキングとは、ゴム状の材料を使って目地を埋めたり、ひび割れを補修したりする工程です。
「コーキング剤」はコーキングに必要な材料です。
「コーキングガン」はコーキングを打ち出すために欠かせない道具です。
できるかぎりコーキング作業は業者に依頼することをオススメします。
コーキングは専門性が高い技術のため失敗すると雨漏りを引き起こすからです。
なお、コーキングの際には「マスキングテープ」が必要です。
「マスカー」は養生で使います。
マスカーとは、ガムテープとビニールシートを組み合わせた養生道具です。塗らない場所に貼って、塗料の飛散を防止します。
「紙やすり」と「革すき」は古い塗装を剥がすために使います。
凹凸があるサイディング外壁の場合は不要ですが、モルタルや金属部、木部など平らな外壁部分で必要です。
「ゴミ袋」はすべての作業が終わったらゴミ捨てのために必要です。
塗装用の道具
「ハケ」「ローラー」「塗料を入れる容器」「容器に入れるネット」は塗料を塗る道具です。
容器に入れるネットは、ローラーについた塗料を適正な量にするために必要です。
ローラーに塗料をつけてそのまま外壁を塗ってしまうとムラができて失敗しやすくなります。
「下塗り塗料」「中塗り・上塗り塗料」は外壁を塗装する材料です。
「付帯部用の塗料」は下塗りや中塗り・上塗りとは別の塗料を使います。
付帯部とは、外壁の広い面以外を指します。
金属パイプや屋根の側面、木材部分などは、各素材に適した塗料が必要です。
外壁塗装の作業手順をチェック!
外壁塗装の作業手順としては以下のようになります。
- 足場設置
- 高圧洗浄
- 養生
- 素地調整
- 下塗り
- 中塗り・上塗り
- 付帯部の塗装
- 足場解体
- 清掃
具体的にどのような作業をするか紹介していきましょう。
足場設置
DIYで作業をするとしても、業者に依頼をして足場は設置しましょう。
足場と一緒に養生シートも設置してもらうと便利です。
一般的に業者が使う足場はくさび式足場と呼ばれています。
特にこだわりがなければくさび式の足場をかけてもらいましょう。
高圧洗浄
高圧洗浄機を使って外壁を洗浄します。
外壁を洗浄しないで塗ると、外壁素材と塗料のあいだに異物が入り込んで付着力が低下し、塗装がすぐに剥がれてしまいます。
外壁の洗浄時は大量の水とホースが必要です。工事をした月は水道代が増えるため注意しましょう。
養生
塗ってはいけない場所に塗料が飛ばないよう周辺を保護する作業です。
窓やドアはマスカーを使って保護しましょう。
貼る際の注意としては、マスカーのガムテープ部分に隙間を作らないことです。
隙間があると塗料は染み込んでいくため塗装と窓の境界線が汚くなります。
素地調整
素地とは、下塗りをする前の外壁を指します。
外壁には木材や金属部といった、高圧洗浄ができない部位があります。
そういった場所は革すきやサンドペーパーで、簡単に剥がれそうな古い塗装だけを取り除きます。
素地調整の前にコーキングの打ち直しや、ひび割れの補修といった「下地補修」が必要な場合があります。
ひび割れなどを起こしている古いコーキングはカッターで削り取り、打ち直しをします。
コーキングの打ち直しは高度な技術が必要なため業者に依頼しましょう。
下塗り
素地調整を行ったら下塗りをします。
下塗りは、中塗り・上塗りに使う塗料が剥がれないようにする接着剤の役割があります。
外壁に中塗りを直接塗ってしまうと、塗料が壁に吸い込まれて施工不良を引き起こします。
このため下塗りを壁に吸い込ませて、中塗りが吸収されないようにしなくてはいけません。
下塗りに使う材料は「シーラー」や「プライマー」と呼ばれます。
中塗り・上塗り塗料に適した種類があるため、対応した下塗りを選びましょう。
下塗りからハケとローラーを使います。
ローラーは広い面を塗るとき、ハケはローラーが入らない場所を塗るときに使います。
上塗り
下塗りが乾燥したら中塗りをします。
中塗りと上塗りは同じ塗料を2回塗る作業です。
下塗りと合わせて3回塗る理由は、塗料の耐久性を確保するためです。
中塗りを乾燥させてから上塗りを行うことで性能を存分に発揮できるのです。
詳しくはこちらをご覧ください
⇒なぜ外壁塗装は下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが必要なのか?
中塗り・上塗りに使う塗料には、「ウレタン塗料」「シリコン塗料」「フッ素塗料」の3種類があります。
ウレタン塗料は安いですが寿命が短いです。
フッ素塗料は高耐久ですが価格は高いです。
シリコン塗料はウレタンとフッ素の丁度中間に位置します。
外壁塗装では一般的にシリコン塗料が使われているため、とくにこだわりがなければシリコンを選びましょう。
付帯部の塗装
付帯部の塗装は外壁全体を塗った塗料とは別の材料を使います。
木材か金属かによって材料が変わってきます。
それぞれの材質に適した塗料を下塗り用、中塗り・上塗り用の2種類を購入しましょう。
付帯部で塗る場所としては金属のパイプ、屋根の側面にある「破風板(はふいた)」、屋根の裏側にある「軒天井(のきてんじょう)」などがあります。
いずれも外壁と一緒に塗装をしないと錆びたり雨漏りを引き起こしたりします。
足場解体
塗装が完了したら業者に足場を解体してもらいましょう。
せっかく塗った外壁を傷つけられていないか、解体後にチェックしてください。
清掃
足場を解体したら、清掃をします。
養生のマスカーやマスキングテープが落ちていることが多いので回収しましょう。
マスカーは風で飛びやすいため、隣家にゴミが入り込んでいないかもチェックしておきましょう。
塗料が隣家の車や壁に飛んだ場合は賠償金を請求されます。
賠償金やトラブルが怖い人はDIYをしないで、業者に外壁塗装を依頼しましょう。
外壁塗装をDIYで行う際に起こるトラブル例
DIYで外壁塗装を行う場合、トラブルが起こるおそれがあります。
ここでは、起こりやすいトラブル例と対策を紹介します。
隣家の車や壁を汚して賠償請求を受ける
DIYで外壁塗装をすると、塗料が隣家に飛散した場合に賠償金を自分で支払う必要があります。
飛散状況によっては数十万円を請求されるおそれもあり、業者に塗装を依頼したときよりも高額となるでしょう。
塗料の飛散を完全に防ぐ方法はありません。
養生シートを張っても隙間はあるため、風で塗料が飛ぶ危険性があります。
対策は、DIYを行わずに業者に塗装を依頼することです。
業者でも塗料が飛ぶ可能性はありますが、あなたが損害賠償を受けることはないため安心して任せられます。
塗装が1年で剥がれしまう
DIYで塗装をした場合、塗膜が1年で剥がれてしまうおそれがあります。
外壁塗装をDIYで行う場合、インターネットで得た知識だけでは不十分です。
塗料に記載されている耐用年数は、プロが技術を駆使して塗装をした場合の目安です。
知識や技術がない人によるDIYでは寿命が短くなるでしょう。
ネットで得られない情報としては、
- 素地調整でどの程度まで古い塗装を剥がしたらいいのか、
- マスカーで塗装が染み込まないための貼りかた
- ハケやローラーの正しい使いかた
などがあります。
上記の情報は文字では伝えにくかったり、ケースバイケースだったりするため現場で直接伝えるしかありません。
DIYで外壁塗装をする場合は剥がれるリスクを覚悟したうえで行いましょう。
まとめ:DIYの外壁塗装は安いがリスクが高い
DIYで外壁塗装をする場合、業者に依頼するよりも半額程度で工事が可能です。
しかし、塗装がすぐに剥がれたり、隣家に塗料が飛んで賠償金を請求されたりするリスクが高いです。
最悪の場合は業者に依頼するよりも賠償金や再塗装の費用が上回るケースもあるため、確実に安くなるわけではないと考えましょう。
それでもDIYで工事を行いたい場合は、今回紹介した内容を熟読して工事をすれば最低限の品質を確保しやすくなるでしょう。
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