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火災保険は全国一律だと認識している方は多いと思います。
しかし、建物の所有地によって保険料が異なることをご存知ですか。
大都市ほど高いイメージがありますが、実際は災害の発生しやすさにもよるため、地方でも火災保険料が高い地域があるのです。
それでは、火災保険料は地域によってどのぐらい異なるのでしょうか。
この記事では、戸建て住宅の購入時に役立つ火災保険の地域差について解説させていただきます。
☆記事全体の要点
・火災保険料は建物の所在地や構造によって算出される。同条件の戸建ての場合は、火災発生率の高さや消火機能が整っていない地域ほど保険料が高くなる。
・日本国内では、九州・沖縄地方の火災保険料が高く設定されており、首都圏ほど低く設定されている。
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火災保険料の算出の仕方
保険料の地域差をご説明する前に、まずは火災保険料の算出の仕方を押さえておきましょう。
火災保険料の料率は、エリアや構造によって変わる火災発生率(保険請求率)によって設定されています。
さらに、補償プランや物件の平米数によっても差が発生するのです。
これらと共に、保険会社ごとの料率の違いや代理店の付加保険料も参考にされて保険料が決まります。
代理店から火災保険に加入をすると、人件費(手数料)が保険料に含まれるので、地域問わず保険料が高くなることは事実です。
保険料を安く抑えたいのであれば、人件費がかからない通販型を選ぶ方法もあります。
記事の要点
- 火災保険料は、火災発生率、補償プラン、物件の平米数、保険加入方法によって算出される。
- 保険加入方法では、代理店は保険料が高くなり、通販型は安くなる傾向がある。
〈ミニコラム 建物構造〉
火災保険料を算出する際には、建物の構造を吟味する必要があります。
具体的には、以下の表の通り3種類に区分されます。
T構造(準・耐火構造) | H構造、共同住宅以外の建物(鉄骨など) |
H構造(準・耐火構造以外) | 木造、土造で造られた耐火力の低い戸建て |
M構造(マンション構造) | コンクリート、レンガなどで造られている共同住宅 |
これによると、戸建て住宅の場合は必然的にT構造かH構造になります。
耐火性に優れている鉄筋コンクリートや、柱や壁などに一定の耐火性が備わっている準耐火建築などはT構造、これに当てはまらないものはH構造であると覚えておいてください、
また、保険料はT構造の方がH構造よりも安価な値段に設定されています。
〈条件〉
東京都、新築物件、保険金額1,000万円、保険期間10年
構造 | 値段 |
T構造 | 38,400円 |
H構造 | 88,900円 |
この表によると、約5万円の差があることがわかります。
また、木造の戸建て住宅の場合はH構造に当てはまるため保険料が高くなると思われがちですが、耐火建築物や準耐火建築物であればT構造とみなされ、保険料が安くなります。
建物の所在地と同様に、構造も保険料を算出する上で大事な項目になるので、ぜひ仕組みを覚えておきましょう。
火災保険料は地域によってどのぐらい差があるの?
火災保険料を算出する条件のなかに、建物の所在地があります。
これは、建物の所在する都道府県によって保険料が異なるということです。
物価を例にして考えると、大都市の方が高く地方都市にいくほど安いイメージがありますよね。
また、戸建て住宅を建てる際には、出来るだけコスパ良く火災保険を契約したいと考えるでしょう。
本章では、東京都と群馬県の同条件の戸建て住宅に火災保険をかけることを設定して、火災保険料を比較しました。
戸建て住宅を建てる場所を通勤通学に便利な首都圏か、ゆとりある生活を保てる地方都市のどちらにするか検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
〈東京都と群馬県 火災保険料の比較〉
・設定
首都圏近郊の賃貸マンションに住む夫婦2人、子ども2人の4人家族。
将来は戸建て住宅を構えることを検討しているが、職場への通勤に便利な東京都か、夫婦の実家のある群馬県にUターンをするか考えている。
物件周辺の災害発生率や物価を考慮して住居地を決めたいと希望している。
・条件
建物種別: 戸建て、面積: 110㎡、保険期間: 10年、保険の対象: 建物のみ、
補償: 火災、風災、割引: なし
参考: ソニー損保「新ネット火災保険」
年額 | 月額 | |
東京都 | 14,989円 | 1,319円 |
群馬県 | 16,154円 | 1,422円 |
この結果、東京都の方が群馬県よりも火災保険料率が安いことがわかりました。
群馬県の方が災害が起こりにくいイメージがあるので、結果に驚いた方も多いことでしょう。
火災保険で補償されるものには、火災の他に風災や落雷、水災等多種多様に渡っています。
そのため、必ずしも火災による事故に関して保険金が支払われるわけではありません。
群馬県の火災保険料が高い理由の一つに、風災が多いことが挙げられます。
実は、群馬県は昔から「赤城おろし」などの空っ風による突風が頻発する地域なのです。
毎年のように群馬県内では突風による災害が発生しており、甚大な被害をもたらしています。
また、群馬県北部は豪雪地帯でもあり、冬になると北陸並みに雪が積もります。
なかでも片品村は、関東唯一の特別豪雪地帯に指定されており、県内の中でもかなりの量の雪が降るのです。
これらの点を踏まえると、群馬県は関東の中でも災害発生率が高いので、火災保険料が高く設定されていると考えられます。
東京都の方が災害が多いイメージがありますが、風災や雪災を含めると群馬県の方が圧倒的に災害の多い地域なのです。
この家族のケースですと、実家のある群馬県にUターンをする選択肢もありますが、単に災害発生率と火災保険料率を考えると、東京都に戸建てを構える方法も良いでしょう。
章の要点
- 火災保険料は災害の多い地域ほど高く、少ない地域ほど安い傾向がある。
- 物価の高い大都市が必ずしも火災保険料が高いとは限らないため、同条件の戸建てであれば大都市の保険料の方が安い可能性もある。
都道府県によって保険料に差がある理由には、災害発生率と並んで災害の潜在リスクが挙げられます。
火災保険料の料率は、都道府県別の事故の発生、損害状況を元に算出されているため、消化活動の物理的な優位差も考慮されているのです。
たとえば東京都の場合、家が密集しているので燃焼が起こりやすいリスクがあります。
しかし、消火施設が各地域に設置されているため、消化活動までの時間が短いメリットがあるのです。
反対に地方で同じ状況になった場合、消火施設が遠い僻地ほど被害のリスクが高くなります。
上記のような影響があるため、都道府県によって保険料に差が発生するのです。
東京都などの大都市は物価や家賃が高い反面、消火施設などのライフラインが整っているため、災害発生時に迅速な対応ができることが良い点です。
戸建て住宅を建てる際には、火災保険料の料率を踏まえながら、地域の防災活動の背景を読み取りましょう。
火災保険料の高い地域、低い地域 ランキングにしてみました
同条件の戸建て住宅の火災保険料を比較した場合、災害発生率や消火活動の優位差が関係してくることをご理解いただけたと思います。
そのため、必ずしも首都圏が高く地方都市が安いとは言えません。
実際に火災保険が高い地域、低い地域はどのような分布なのでしょうか。
「火災保険料の高い地域、低い地域」を保険料率を元にランキングにまとめたので参照してみましょう。
〈火災保険料の高い都道府県〉
都道府県 | 住宅火災保険基本料率 |
1位 沖縄県 | 2.64 |
2位 鹿児島県 | 2.48 |
3位 宮崎県 | 2.28 |
3位 長崎県 | 2.28 |
5位 大分県 | 2.07 |
〈火災保険料の低い都道府県〉
都道府県 | 住宅火災保険基本料率 |
1位 東京都 | 1.23 |
1位 神奈川県 | 1.23 |
1位 長野県 | 1.23 |
4位 埼玉県 | 1.26 |
4位 千葉県 | 1.26 |
参照サイト: https://blog.goo.ne.jp/door0038/e/3e9b1e9c41440a4e2306b69b7d0c43c4
この表によると、九州・沖縄地方は火災保険料が高く、首都圏ほど安いことがわかります。
九州・沖縄地方は台風などの災害が多いことと、消火施設の数が少ないため、災害が起こると大ごとになりやすいので保険料が高くなっていると考えます。
反対に、首都圏は防災に対応する環境が整っているため、いざ災害が起こっても即座に行動を起こすことができることから、大ごとになる確率は少ないのです。
また、長野県の火災保険料が低い理由として、山に囲まれていて災害発生確率が少ないことが挙げられます。
長野県は台風などの災害が直撃することは滅多にないので、災害が起こりにくい県として注目が集められています。
このように、火災保険料はその地域の災害発生確率や、防災機関の充実さを考慮して定められているのです。
章の要点
- 火災保険料が高いのは九州・沖縄地方で、災害発生確率が高いことと防災機関の少なさが要因として挙げられる。
- 火災保険料が安いのは首都圏と長野県である。首都圏では防災に備える環境が備わっており、長野県は他県に比べて災害発生確率が低いことが挙げられる。
火災保険料は大きな出費になりますが、家を保つための必要経費として支出せざるを得ないお金でもあります。
火災保険を備えておくことで、災害から大切な財産を守ることができるのです。
しかし、火災保険料は家計に負担を及ぼすので、少しでも節約をしたい方は火災保険料の安い地域に戸建てを構えることを検討してみましょう。
上記に挙げた通り、意外にも首都圏は火災保険料が低いので、他の地域よりも支出を減らすことが可能です。
また、災害の少ない地域に住みたいのであれば、首都圏から新幹線で1時間弱の長野県も選択範囲です。
いずれにせよ、災害が発生した際に備えがしっかりしている地域を選ぶことが必要不可欠だと考えます。
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