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※この記事は「NPO住宅地盤診断センター様」による専門家監修記事です
家という家族の暮らしのステージを支えるのは、地盤です。地盤といえば、東日本大震災や熊本地震など大規模な地震のときに、地盤災害も話題になりました。また近年では、大手マンションビルダーの建てたマンションの杭打ちの問題が発覚したことも周知の事実です。
さて、家の土台である地盤について、みなさんはどの程度ご存知でしょうか。安心できる家を建てるために必要な地盤調査と地盤改良について解説したいと思います。
また、解説に入るまでに失敗しない家づくりで1番重要な事をお伝えします。
「夢のマイホーム」の実現に向けて、多くの人が住宅展示場を訪れたり、雑誌やウェブサイトで情報を集めたりします。
しかし、その一方で、家づくりを始める前に「知っておくべきだった…」と後悔する人が後を絶ちません。
理想の家を建てるためには、情報収集が最も重要と言っても過言ではありません。
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それでは解説をしていきます。
1.地盤調査とは?
地盤調査とは、読んで字のごとく、「地盤の状態を調査すること」です。家を建てるにふさわしいものなのかどうか、もしも問題があるとすればどの箇所なのか、どのようにすればその土地に家を建てることができるのかの検討材料となるデータを集めます。
日本のみならず、あらゆる土地には歴史があります。過去の自然災害や地面の動きにより、固い岩盤や砂の多い層など固有の地層を残しています。また、新たに作られた埋立地や造成地など、人工的な地盤もあります。
これら地盤を正しく理解し、必要に応じて対処法を導くための調査が「地盤調査」なのです。地盤とは、「よい家を建てるための建築材料の一部」と考えれば、十分な調査が必要であることはすぐにご理解いただけるでしょう。
1-1.事前調査と周辺調査
地盤調査を行う前に、ペーパーロケーション(資料収集)を行います。現在の地形図や、古い地形図、地質図、地盤図などを集め、その土地の「生い立ち」を調べます。現地調査(現地ロケーション)では、地形や地質(土質)、造成地であれば盛土の状態、擁壁の高さ、種類、水抜きの有無、近隣の土地や擁壁、建物に異常がないかを考え合わせながら周辺調査を行います
2.地盤調査の種類別特徴!一般住宅に最適な方法とは
地盤調査と一言でいっても、一般住宅を建てる際に行うものと、ビルやマンションを建てるときに行うものとは基本的に異なります。というのも、建物自体の重みが異なりますし、建物のサイズ(建築面積もしくは床面積)も大きく違います。
一般住宅で採用される地盤調査の方法には、以下のようなものがあります。
2-1.スウェーデン式サウンディング試験
一般住宅建築に先駆けて行われる地盤調査の代表的なものがスウェーデン式サウンディング試験です。スウェーデンの国有鉄道が開発・採用してから後、日本の建設省(国交省)のお役人が持ち帰り、研究・改良してJIS規格とし、以来普及してきました。
金属のスクリューのついた棒を地面に突き入れ、地表から重みをかける作業を行います。おもりをのせる度に棒の沈みがあるか、その沈みの状態はどうかを観察します。一般的な宅地では5箇所以上測定しますが、土中に瓦礫など調査の障害となるものと接した場合は調査ができません。この場合は、追加で他の場所で試験を行います。
試験者がスクリューのついた棒を回転させるとき、深さにより異なる音や抵抗感を覚えることがあります。これによって、その土地の土質を判断します。
手作業で行うこともありますが、今ではコンピューターで制御し、自動的にデータをとる機械もあります。おもりの重量、自沈の状況、貫入時の回転数などから建物を支える力、いわゆる支持力(kN/㎡:キロニュートン/平方メートル)に換算します。判断者にもよりますが、木造2階建ての場合は30kN/㎡以上の支持力を必要とする場合が多いようです。
2-2.表面波探査(地震波調査)
近年、少しずつ普及しているのが表面波探査です。人工的に小さな地震を起こして、地盤の強度と住宅が地盤に載った時の土の沈下量を調べます。
アメリカの陸軍が開発した技術で、地表面に起振装置(E)と地震計2ケ(A・B)をおよそ1mずつの間隔で設置し、地震波が地中を伝わる様子から地盤の支持力(建物を支える力:kN/㎡)と沈下量(建物が載った時の沈む量:cm)を調べます。やはり、敷地の5箇所以上を調べます。
表面波探査では、沈下量が分かるため木造2階建てで、支持力が20kN㎡/以上あればベタ基礎での施工が可能です。
2-3.標準貫入試験(ボーリング)
よく耳にする「ボーリング調査」というのは、ボーリングと標準貫入試験を合わせたものを言います。ボーリングとは、「くりぬき」を意味します。
標準貫入試験は地表に簡易的なやぐらのようなものを組み、土中に打ち込んだ金属製ロッドに63.5キロのハンマーを75センチの高さから落とします。金属製ロッドが30センチの深さに至るまで何回ハンマーを打てばよいのかを調べ、打った回数をN値(地盤安定性目安)として記録します。N値が大きいほど硬い地盤と言えます。
また、土質試験のため別にボーリングを実施し、採取した土のサンプルを使って試験を行い、建物が載った時の土の沈下量や液状化の可能性について計算することができます。
この標準貫入試験(ボーリング)は3階建以上もしくは鉄骨造など構造計算書が必要な大規模な建物のときに行う試験です。このため、支持層(建物の荷重を支えることのできる地盤・地層)に到達するまで行う必要がありますが、この標準貫入試験(ボーリング)ならば金属製ロッドなど必要な部材を延長することによって、深いところまで調べることができます。
2-4.平板載荷試験
平板載荷試験は、基礎を打つ予定の深さまで土を掘り、そこに直径30センチほどの金属板を置いて、その上部に建てる予定の建物と同等の重みをかけることで地盤の強度を計測する方法です。実際の重さをかけるために、反力としてトラックや重機を使用します。
計測用の金属板には、沈みを図るためのオイルジャッキで載荷し、荷重量とどれだけ沈み込むか(沈下量)を観察します。土に直接荷重をかけますので、比較的簡単に試験を実施することができます。しかしながら、さらに深い場所に軟弱な地盤が存在した場合、その影響まで考慮することはできません。
通常、金属板の直径の2倍の深さまで(約60㎝)の地盤状況が把握できます。
3.一般住宅の地盤調査費用と地盤改良費用の目安はどのくらい?
様々な地盤調査方法がありますが、一般住宅で採用されるのはほとんどの場合は、スウェーデン式サウンディング試験と表面波探査の2種類になるでしょう。2m以上の高さの擁壁を新設するときには、標準貫入試験や平板載荷試験が必要になります。それぞれに要する時間と費用の目安についてもお伝えします。
3-1.【地盤調査】スウェーデン式サウンディング試験
スウェーデン式サウンディング試験を採用した場合、調査の時間は半日から1日、費用は5万円~10万円程度です。
3-2.【地盤調査】表面波探査(地震波調査)
表面波探査を採用した場合、調査の時間は半日から1日、費用は8万円~12万円程度です。
3-3.【地盤調査】標準貫入試験(ボーリング)
標準貫入試験(ボーリング)の場合、調査は1日以上となります。かかる費用は掘る深さや土質により異なり、1メートルにつき3万円くらいからです。
3-4.【地盤調査】平板載荷試験
平板載荷試験での地盤調査は、おおむね1日で終了します。費用は1箇所につき15万円くらいからです。
4.地盤解析から基礎設計へ
スウェーデン式サウンディング試験や表面波探査など、実際に行った試験のデータを解析し、先に収集した既存資料や周辺状況など他のデータと照らし合わせながら、その敷地の地下の状態がどのようなものであるかを分析します。基礎の設計に必要なのは、支持力(kN/㎡)と沈下量(cm)です。
4-1.その敷地に適した基礎形状や地盤改良工法の検討
地盤解析から得たデータや、その敷地周辺の状況を元に、適した基礎形状(ベタ基礎・布基礎など)や砕石置き換え(表層の弱い部分の土を砕石に置き換える低コストの地盤対策)及び適した地盤改良工法を検討します。
この段階では、設計上の建物の総荷重や、特に重くなる部分をも加味して考えます。特に地下水脈が発見されたとき、また、過去の土地の形状に付け加えるように行われた盛土があった場合には特に慎重を期します。
同様に、既存の擁壁が老朽化して大きなクラックやはらみ出し、水抜きが機能していないなどの問題がある場合も慎重を期す必要があります。
4-2.地盤改良工事に際し
敷地に対して家がどのように建つのかを明確にする地縄張り(じなわばり)を行います。建物の正確な位置を“見える化”するため、仮の杭に簡易な板を張ります。
これにより、どこからどこまで表層改良するのか、柱状改良や鋼管杭改良ならどこにそれを埋め込むのかをはっきりさせるのです。目印をつけた後、採用された工法で地盤改良工事を行い、その後基礎工事に入ります。
5.地盤改良工法の種類と費用の目安
地盤改良には、その地盤の状態や敷地の条件により適する工法が異なります。一般住宅に活用されている地盤改良工法から、地盤の状態とそれに適すると考えられる工法をご紹介しつつ、費用の目安もご紹介します。
5-1.表層地盤改良
深度2mまで軟弱地盤がみられるときには、この表層地盤改良が採用されるでしょう。
地表の土を安定した地盤まで掘り進め、安定した良い地盤と一体化させるように固化材(粉体セメント)を掘り出した土によく混ぜて、振動ローラーなどでしっかり転圧をかけ、表層地盤を固める方法です。建物配置より50㎝ほど工事範囲を広げます。
短期間で地盤改良が完了し、掘った土地(深さ)1メートル×1坪で3万円程度です。最大深さ2.0mまでです。別途、残土処分費がかかる場合があります。
最近では、セメントからにじみ出る発がん性物質「六価クロム」に留意し、特殊なセメントを使用するのが一般的です。
5-2.鋼管杭工法
支持層までが深く、表層地盤改良で対処できない場合は鋼管杭工法を採用することがあります。
これは軟弱層に鋼管の杭を打ち、支持層にまで達するようにする方法です。最大で20メートルまで対応できますが、専用の大型車両が必要です。敷地1坪あたり7万円前後が相場です。鋼管の径は、約100㎜~130㎜が一般的です。
なお、敷地内で支持層までの深さが異なる場合は「鋼管杭工法」が基本になります。
異なる改良工事の組み合わせは危険です。
5-3.柱状改良工法
鋼管杭工法のような既成の杭を使わず、セメントミルクと現場の土をゆっくり掘削・攪拌し、柱状のものを土中に作成し、支持層または支持層近くまで到達させるのが柱状改良工法です。
施工できる深さは最大8ⅿです。柱状改良工事の注意点は、施工には2日以上かけて丁寧な施工をすることが大切です。一日で終わるような廉価な工事は沈下事故につながります。この柱状改良工法もセメントを用いますので、ミキサー車や施工用重機が入る土地でなければなりません。先にあげたとおり、六価クロムの問題もあることから、採用するセメントに注意をしなければなりません。
敷地1坪あたり5万円前後が相場です。
5-4.砕石杭工法
先の柱状改良の問題点であったセメントを、天然の石を砕いたものに変えたのが、この天然砕石柱状パイル工法です。
六価クロムの問題が発生しないことがメリットです。また、地震の揺れによって起こる液状化対策としても有効で、公共工事などにも用いられています。石と石の隙間に地震の揺れによって生じた地下水がしみこみ地上へあがってきます。この石の作用により、液状化による沈下量を減らすことができます。
但し、液状化対策の場合は通常の軟弱地盤対策と比べて砕石杭の本数が3倍必要となり高額となります。また、砕いた石を柱状にぎっしりと詰めるためにはケーシング(鉄管)を使用した施工が必要です。ケーシングを使わないときちんとした柱にならない可能性がありますので注意が必要です。
将来、土地を手放すとき、鋼管杭や柱状改良杭は地下埋設物として撤去費用(平均200万円)を求められることがあります。しかし、砕石ならば「自然石」で「人工物」でないことから、撤去する必要もなく将来的にも安心で、近年注目されている地盤改良法です。
たとえば深さ3メートルの砕石柱を作るなら、1本あたり5万円前後が相場です。
最大深さは6ⅿ程度です。
5-5.ジオテキスタイル工法(ジオクロス工法)
一般的に基礎の下には、砕石を敷設します。その砕石の間に丈夫なシートを全体的に敷き、建物の重さを均等に分散させて住宅の沈下を抑制させる工法です。
60年以上前から、世界中の土木工事で使用されている工法です。
但し、地層が傾斜する地盤には不向きです。以前が田んぼのような地層が平行な軟弱地盤で活用できます。六価クロムや地下埋設物の心配はありません。
表層地盤改良と同じで、建物範囲より50㎝ほど施工範囲を広げます。
施工期間は半日程度で、深さは関係なく坪あたり3万円です。
6.「地盤調査」と「地盤改良」、「地盤保証」はセットと考えるべきか?
家を守るためには、地盤はとても大切なものです。家の土台となる地盤をよい状態にするには、「地盤調査会社」と「地盤改良工事会社」「地盤保証会社」が必要です。
6-1.地盤調査会社
家を建てるにあたり、地盤調査は原則として必要です。これを行わなかった場合、家そのものの保険の一種である「住宅瑕疵担保責任保険」に加入できません(住宅かし保険に関する“よくあるご質問”│一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会)。
しかしながら、これには一部例外があり、木造平屋であり、なおかつ設計施工基準(瑕疵担保保険など保険法人で共通の基準)を満たすとき、地盤調査をしなくても加入は可能です。
ただ、「何かしらの問題が起きても自費で基礎も家も直す」というお考えの方であったとしても、いざそのときになると家を元通りにするまでの費用・期間が大きくなることがありますので、地盤調査は必須と考えるほうがよいでしょう。一般に家を元通りに直す工事を、沈下修正工事といいます。平均700万円程度で工事期間は約1か月です。
地盤調査は、ハウスメーカーや工務店“お抱え業者”の手により、家づくりの流れの一段階として行われることもあります。しかしながら、それでは不安と思われるのであれば、第三者的に地盤調査をしてくれる会社を探すことも大切です。
6-2.地盤改良工事会社
ひとつの敷地内でも、強固な支持層に近いところ・遠いところがまだらに存在することは珍しくありません。先に行った調査結果に基づき、「地盤改良不要」「一部必要」「全体的に必要」といった判断をし、どの方法がよいかを選定します。この判断は、ハウスメーカーないしは地盤調査会社が行いますが、ときとして意見が食い違うこともあり得ます。これは、ハウスメーカーや工務店とは利害関係のない第三者的調査会社だった場合です。
意見の食い違いがないのは、ハウスメーカーと地盤調査会社が協力関係にあったときでしょう。「少しでも工程を増やして儲けたい」「お施主さまに費用を出してもらってもっともっとよい家にしたい(オーバースペックともいいます)」という心理が働くからです。
最終的に「よい地盤」が手に入れば良いわけですが、不必要な工事は避けたいものです。そういった意味では、ハウスメーカーに勧められるがままに地盤調査会社や地盤改良工事業者を選ばないことも大切です。近年、数十年と問題なく住んでいたが、建て替えで解体後に地盤調査をしたら100万円の杭工事が必要と言われ、戸惑う方が多くいます。地盤状況は、同じ2階建てなら以前の建物で実証済みです。工事の必要性は低いはずです。
もしも不安や疑問を感じたら、ご自身で地盤調査会社やNPO法人などに“セカンドオピニオン”を依頼するのもよいでしょう。非営利のNPO法人などは無償で対応をしてくれます。
6-3.地盤保証会社
先に触れた「住宅瑕疵担保責任保険」では、地盤の不同沈下(敷地の一部が沈むことで家が基礎から斜めに傾いてしまうこと)の保証は、沈下修正工事費用約700万円から免責額10万円を差し引いた後の80%です。残り148万円(20%)を負担する不安を解消するため、地盤保証会社が存在します。地盤保証会社は、「地盤には問題ないとされた」「問題はあるが必要な地盤改良工事を行った」のに、後に不同沈下など地盤トラブルが発生したときに家の不具合を修復する費用や仮住まいの費用などほぼ100%に近い保証が期待できます(地盤保証制度のしくみ│住宅保証機構)。
住宅の瑕疵担保責任が10年であるのに対し、地盤保証の年数は会社により異なります。また、契約内容も会社により違う部分がありますので、地盤保証会社もご自分が納得できる会社を選ぶ必要があります。
7.これから家を買う人が知っておきたい!地盤改良にまつわる最低限の知識
近いうちに家を買いたい、気に入った土地に家を建てたいという方にお伝えしたい大事なポイントがいくつかあります。ごく基本的なことではありますが、知っているのといないのとでは大きな違いが出てきます。もしも気になる土地があれば、ネットで公開されている「地盤情報マップ」もいくつかありますので、購入検討前にそれらをチェックしてみるのもひとつの方法です(全国地盤サーチGAIA│ビイック株式会社)。
7-1.【要注意】新規造成地でひな壇敷地のとき
山を切り開いた、新しい住宅地用の造成地が売りに出されていることがあります。このような土地が、敷地ごとに段差のある「ひな壇敷地」だった場合、ほとんどのケースで地盤改良工事が必要です。
斜面に水平の土地を作るときに、「切土(きりど・そもそもあった土を切って形状を整えること)」や「盛土(そもそもあった土地に不足している土を追加すること)」を行っているからです。敷地の下部は“切ったり貼ったり”の状態であることが多く、特に盛土の部分は長い年月を経ていずれ沈んでゆくというリスクを抱えているからです。
また、ひな壇敷地には擁壁がつきものです。将来的にこの擁壁が崩れたとき、その敷地の持ち主が手当てするものか、それとも被害を受けた下の段の家の持ち主が手当てするものかでもめるケースが多いのです。
ひな壇敷地を気に入ったときは、しっかりとした地盤調査・地盤改良工事と、擁壁に土中水分の排水設備(水抜き穴)があるかの確認をしなければなりません。
なお、杭工事や地盤改良工事は建物を垂直に支えるための工事です。地震の時の横揺れに対応するものではありませんのでご注意ください。
7-2.【要注意】建売住宅のベタ基礎に長いひび割れがあったとき
新築の建売住宅が気に入り、見学に行くと決めたときは、必ず基礎部分をじっくり観察してください。
基礎に用いられるコンクリートは、水分が抜けるに伴って収縮し、「ヘアクラック」という幅0.3ミリ以下の亀裂が生じることがあります。もしもこの亀裂が0.3ミリ以上であり、数十センチ以上の長さがあるようでしたら、地盤沈下(不同沈下)による傾きが原因の構造クラックである可能性が高い状態です。
その宅地がそもそも何であったのかを不動産業者に聞いてください。田んぼや川・沼の埋立地であればその家は避けたほうが賢明です。たとえ既存の住宅地であっても、造成しなおしたときの地盤改良が十分でないことも考えられます。
7-3.ハウスメーカーによって地盤改良の必要・不要が異なるとき
購入した土地に家を建てようと複数のハウスメーカーや工務店に相談をしたところ、地盤改良が必要という会社と、不要という会社が現れることがあります。そのようなケースでは、ハウスメーカーや工務店“お抱え”の地盤調査会社が調査・検討をしていることが多くあります。
このときにはどうしても迷ってしまうものですが、悩んでいても解決はしません。第三者的・客観的に地盤調査をしてくれる会社にご自分で調査・検討を依頼するのが解決の鍵です。余計に費用を用意しなければなりませんが、家を建てた後に後悔するよりもはるかによい結果を得ることができるはずです。
8.専門家が勧める!一般住宅の地盤調査を行う会社一覧
8-1.NPO住宅地盤診断センター(http://www.jutaku-jiban.net/)
公正中立の立場で住宅と地盤、基礎に関する正しい情報を発信中。家を建てたいと希望している方に向けてのセミナーを定期的に開催すると同時に、地盤や基礎の診断や助言も行っています。地盤調査専門の会社が会員として多数登録しています。
8-2.一般社団法人ハウスワランティ(http://www.house-warranty.or.jp/)
住宅事業者と家を建てたい方の間に立ち、家への信頼を向上させるため、地盤保証事業を行っています。地盤災害の予測、地盤品質の予測、建物・基礎・地盤の構造バランスを担保する、という3つの研究テーマを掲げています。日本各地に事業所・支社を持っています。
8-3.一般社団法人地盤保証検査協会(http://www.kensa.co.jp/)
地盤技術の向上と地盤従事者(地盤作業員・解析者)スキル向上のため、「地盤検査技師」資格認定制度をつくり、家を建てたい方・ハウスビルダー・地盤会社が共に安心して家づくりに取り組めるよう地盤保証制度を確立しています。指定地盤調査会社は48社あります。
8-4.ビイック株式会社(http://www.vic-ltd.co.jp/)
表面波探査法、動的耐震計測といった技術の開発、地盤調査結果に対する無料相談、最長20年・最大5,000万円の地盤保証(プランは4つ)の準備で、これから家を建てたい方の不安を取り除く活動をしています。「全国地盤サーチGAIA」で表面波探査法での地盤調査結果を地図上にポインティング、ネットで公開もしています。
8-5.株式会社サムシング(https://www.s-thing.co.jp/)
公式サイトから各種資料がダウンロードでき、これから家づくりを考えたい方にも広く情報公開しています。メールマガジンや書籍も準備していて、全国20拠点で相談も受け付けています。地盤沈下による家の傾き(沈下修正)、液状化対策はもとより、地盤保証についても取り扱っています。
8-6. NPO住宅地盤品質協会(http://www.juhinkyo.jp/)
日本全国に会員企業を持ち住宅地盤専門会社を束ねるNPO法人で、累計・年間数十万棟の住宅地盤にかかわっています。地盤事故の根絶、地盤判断の公正性を確保する、地域社会の信頼にこたえ公正性を確保することなどを倫理綱領に掲げていて、調査研究・講演会・見学会・書籍出版なども行っています。
まとめ
家を支える地盤は、安全面での重要な役割を果たします。このページで解説した「地盤調査」と「地盤改良」について覚えておいていただきたいのは以下の5つです。
- 地盤調査は、地盤そのもののみならず、資料収集や周辺の土地の様子のチェック、造成地であれば盛土・擁壁・種類など幅広いチェックを行う
- 地盤調査には、スウェーデン式サウンディング試験、表面波探査、標準貫入試験、平板載荷試験などがあるが、一般住宅ではスウェーデン式サウンディング試験(5~10万円程度)、表面波探査(8~12万円程度)が一般的
- 地盤調査で得たデータから地盤解析を行い、必要があれば地盤改良工法を検討。設計上の建物総荷重を考え合わせ、適した地盤改良工法を導き出す。
- 地盤改良工事は、表層地盤改良、鋼管杭工法、柱状改良工法、砕石杭工法、ジオテキスタイル工法がある。可能な限り六価クロムや地下埋設物の問題に配慮する
- 地盤調査会社、地盤改良工事業者の話に納得できないときは、自分自身で地盤調査会社やNPO法人に「セカンドオピニオン」を依頼する。地盤保証は沈下修正工事への保証をしてくれるが、その地盤保証会社も自分で選べる
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