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野菜を切るときに、調理スペースが狭く感じたり、洗い物をするときに、腰が痛くなったりしていませんか?
キッチンを使っていて、快適と感じない場合、キッチンのサイズが身体に合っていないことがあります。毎日使うキッチンは、自分の身体にピッタリ合ったものを使うべきです。
キッチンをリフォームする時、今より大きなキッチンに、今より高さのあるキッチンにしたい、と考えがちです。しかし、安易にサイズを変えると、逆に使いにくくなり、後悔することになるかもしれません。
このページでは、キッチン本体の正しい選び方について解説します。
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キッチンの「幅」
キッチンのサイズを考えるときに、最初に考えるのは、キッチンの幅です。
料理していて狭く感じることもあるでしょう。キッチンの幅や、作業スペースの広さは、キッチンの使い勝手に直結します。自分の料理スタイルに合った、キッチンの幅を選びましょう。
キッチンの基本的な幅は2m55cm
キッチンの基本的な幅は255cmです。
キッチンメーカーのカタログでは、255cmのキッチンサイズで基本価格を表記しています。しかし、厳密にいうとキッチンの幅に「標準」というものはありません。255cmのキッチンは、よく採用されるサイズであり、ひとつの目安として標準扱いされていることが多いです。
なぜ255cmという中途半端な数字なのでしょうか。
日本の住宅建築業界は、昔から「尺貫法」という長さの単位を用います。キッチンも、この尺貫法に沿って作られています。1尺=約30cmであり、その半分の15cmを基準としてキッチンのキャビネットが作られてきました。2m55cmは一見、中途半端な長さに見えますが、それは、日本のキッチンが15cmピッチで作られているためです。
キッチンの幅の単位
「間口」という言葉を聞いたことはありませんか?
「間口」とは、敷地や建物の幅方向のことを指します。キッチンの幅も、「間口」と呼ばれるのが一般的です。
住宅建築業界は長さの単位をセンチ(cm)ではなく、ミリ(mm)で表します。例えば、幅2m55cmのキッチンのことを「間口2550(まぐち にせんごひゃくごじゅう)」といいます。無理にミリ(mm)で言う必要はありませんが、知識として頭の隅に置いておいてください。
調理カウンターの割振り
キッチンの調理カウンターは、主に3つの要素で構成しています。
・シンク
・作業スペース
・コンロ
この3つの要素を上手に割り振って、使い勝手の良い調理カウンターにします。
使い勝手を考えて、大きなシンクを選択すると、その分作業スペースは狭くなります。逆もしかりです。最近は、横幅を大きくするのではなく、奥行きを広く取ったシンクが増えてきています。
シンクを可能な限り端に寄せて、作業スペースを広く取ることもあります。間口の大きなキッチンでは、コンロとシンクの距離が遠くなると、使いにくく感じます。そんな場合では、作業スペースを2つ設けることで、コンロとシンクの教理を近くすることができます。
コンロの幅は規格で決まっている幅75cm、60cmである場合がほとんどです。パナソニックでは、幅90cmのコンロを使えるキッチンもあります。
ワークトライアングルとは
調理動線をチェックする手法として「ワークトライアングル」があります。
これは、調理する時の動き、調理動線からキッチンの使い勝手の良さを測るものです。「冷蔵庫」・「シンク」・「加熱機器」の前に立った場所を頂点として、三角形を作ります。この三辺を足した長さが、3m60cm~6mだと、使いやすさを感じます。
三角形の三辺を足した長さが長すぎると、無駄な動きを生み、疲労感を感じます。短すぎると、配膳や収納のうごきで、使いにくく感じるようになります。
キッチンの「高さ」
使いやすいキッチンにするためには、自分に合ったキッチンの高さにすることが、必要不可欠です。
高さが合っていないキッチンを使っていると、野菜を切るときに違和感を感じたり、洗い物をしているときに腰が痛くなったりします。どのくらいの高さが自分にあっているのかを知ることが大切です。
標準的な高さは85cm
キッチンの標準的な高さは85cmです。
多くのキッチンメーカーでは、85cmを標準と設定しています。一昔前では高さ80cmのキッチンが多かったですが、平均身長が高くなってきている現在では85cmのキッチンが多いです。
使いやすい調理カウンターは「身長 ÷ 2 + 5cm」
自分にとって使いやすい調理カウンターの高さを調べる方法があります。
それは「身長 ÷ 2 +5cm」です。例えば身長160cmの場合は、160÷2+5=85cmが使いやすい調理カウンターの高さです。同様に、身長170cmの場合は90cm、身長150cmの場合は80cmということになります。
キッチンメーカーでは多くの場合、高さ85cmを基準に、その上下の高さを選べます。高さを1mm単位で調節できるメーカーもあります。
「身長÷2 +5cm」の式はあくまで目安です。その式の通りにしなければ使いにくくなる、というわけではありません。一番良いのは、実際にショールームに行ってみて、いろんな高さのキッチンを触ってみることです。
高さを考えるときのポイント
高さを考えるときに、注意すべきポイントが4つあります。
①シンクの深さ
シンクの深さは、深いほど容量が大きくなり、水はねしても飛び散りにくくなります。しかし、シンクが深いと、洗い物をするときに屈むような体制になり、腰が痛くなることもあります。
②加熱機器の種類
ガスコンロとIHでは、鍋の高さが違います。ガスコンロでは、五徳があるため、IHより高い位置に鍋を置くことになります。五徳(ごとく)とは、ガスコンロの上にある、高さ3~4cmほどの金属の台のことです。
③まな板の厚み
食材を切るときに、自分に合っていない高さのキッチンでは、違和感を感じます。厚みのあるまな板を使っている人は、キッチンの高さを考える際に、その厚みを加味する必要があります。
④スリッパ、キッチンマットの厚み
実際に家でキッチンを使う際には、キッチンマットを敷くかもしれないし、スリッパをはいて調理するかもしれません。神経質になる必要はありませんが、実際に使う状況を考えて、キッチンの高さを選ぶことは重要です。
キッチンメーカーのショールームで高さを見る際には、必ず靴を脱いでください。特に女性の方で、ヒールをはいた状態では実際の高さの間隔をつかむことができません。どこのショールームにも、高さを考える際に使用するスリッパを置いていますので、ひと声かけて借りましょう。
身長差がある夫婦のキッチンの高さ
夫婦どちらもキッチンに立ち、二人に大きな身長差がある場合、キッチンの高さを悩むと思います。
そのときは、誰がメインでキッチンを使っているのかをよく考えてください。
例えば、大きな身長差がある夫婦がいたとします。奥様は毎日キッチンに立ちますが、休日にまれに旦那様がキッチンに立つとします。この場合、頻度を考えると奥様の身長に合わせてキッチンの高さを決めた方が良いです。二人のちょうど間を取った高さにすると、奥様は高さの合っていないキッチンを毎日使うことになります。
このようなことにならないために、誰がメインでキッチンを使うか、どのくらいの頻度で使うかを考えることが大切です。
キッチンの「奥行き」
キッチンの奥行きも選ぶことができます。
キッチンの幅・高さと違って、キッチンの奥行きは、直接使い勝手の良し悪しを決めるものではありません。間取り、レイアウトの面で奥行を変えることが多いです。
標準的な奥行き
I型キッチンの標準的な奥行は65cmです。
60cmを選べるメーカーもありますが、間取りの問題がなければ、ゆとりのある奥行65cmがオススメです。
ペニンシュラ型キッチン・アイランドキッチンでは90~100cmが標準的な奥行です。奥行がスリムなタイプで70~80cmのものを選べるメーカーもあります。
ペニンシュラ型キッチン・アイランドキッチンの奥行きの使い勝手
ペニンシュラ型キッチン・アイランドキッチンの奥行きのある調理カウンター、スリムなタイプの調理カウンターの使い方を考えてみます。
奥行の深いタイプは、配膳・片づけに便利です。キッチンとリビング側をつなぐ部分になります。また、リビング側にイスを置いて、ちょっとした食事をとれるカウンターとして活用することもできます。
一方スリムなタイプは、奥行きが短いため、リビング側のスペースを広く取ることができます。カウンターのリビング側が短くなるので、調理する際の作業スペースが狭くなるわけではありません。
まとめ
キッチンのサイズ選びは十分に考える必要があります。
自分にサイズがピッタリ合っているキッチンは、使っていて心地の良いものです。逆に、サイズ選びに失敗すると、使い勝手の悪いキッチンを毎日使うことになります。
身長や使う頻度、レイアウトなど、様々な面を考慮して、自分に合ったキッチンのサイズを選んでください。
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