外壁塗装で遮熱塗料は効果がない?デメリットや省エネについての解説

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「外壁塗装で熱を遮断できるって本当?」

「遮熱塗料(しゃねつとりょう)を使えば冷房費用を節約できると聞いた」

 

こういった考えを持つ人もいるでしょう。

この記事では、外壁塗装で遮熱塗料・断熱塗料に関する省エネ効果について紹介します。

 

結論から言うと、「冷房費用が2割以上も削減できる」「室内温度が5℃以上も低くなる」というのは嘘である可能性が高いです。

正しい知識を得て遮熱塗料の真実を知り、それでも使うべきかどうかを考えましょう。

本文に入る前に、この記事を読んでいるあなたへとっておきの情報をお伝えします♪
 

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外壁塗装の遮熱塗料、断熱塗料とは?違いは何?

 

外壁塗装で使う遮熱塗料は「高日射反射率塗料」とも呼ばれます。

太陽光には「赤外線」が約50%、目に見える「可視光線」が約47%、「紫外線」が約3%含まれています。

 

これらを反射する割合が「日射反射率」で、太陽光の反射率が高い材料が遮熱塗料です。

太陽光が屋根や外壁に当たると熱エネルギーが発生します。

遮熱塗料には、熱を生む前の太陽光を反射することで温度の上昇を抑える性質があります。

 

一方で断熱塗料は熱を塗料の内部にためこむ性質がある材料です。

塗料の内部に空洞を作って熱を通過させにくくします。

そのため、断熱塗料は暑さと寒さ両方に対して効果がある塗料なのです。

 

遮熱塗料 断熱塗料
太陽光を反射することで、熱を室内に届けないようにする 熱を塗料内部にためこむことで、室内へ熱を届きにくくさせる。
保温効果もある。

 

遮熱塗料と断熱塗料は性質が異なりますが、両方の機能を備えた塗料も存在します。

また、遮熱塗料・断熱塗料ともに、どのくらいの遮熱や断熱が必要なのかという基準がありません。

 

遮熱機能がほとんどない商品でもメーカーは遮熱塗料として販売できるのです。

このため、遮熱塗料と名乗る商品でもほとんど効果がないケースは珍しくありません。

 

遮熱塗料のメリットとデメリット

 

外壁塗装における遮熱塗料のメリットが温度の低下だと知っている人は多いでしょう。

しかしデメリットを把握している人はほとんどいません。

 

遮熱塗料を使うのならメリットだけではなくデメリットも把握して、自分に必要かどうかを見極めましょう。

 

遮熱塗料のメリット

外壁塗装における遮熱塗料のメリットは以下の3つです。

 

  • 屋根の表面温度が最大で20℃低下
  • 室内温度は約3℃の低下で約15%の節電効果が期待できる
  • 熱自体の発生を抑制するためヒートアイランド対策にも役立つ

 

1.屋根の表面温度が最大で20℃低下

日本ペイントによる「サーモアイシリーズのカタログ」を確認すると、遮熱塗料を使った屋根の表面温度が、最大で20℃低下したというデータが存在します。

 

太陽光が直接当たる屋根の表面温度の話ですから、室温が20℃下がるわけではありません

しかし、十分な遮熱機能がある塗料なら室温低下の効果も期待できるでしょう。

 

2.室内温度は約3℃の低下で約15%の節電効果が期待できる

エスケー化研の遮熱塗料によると、室内温度が約3℃低下し約15%の節電効果が期待できると考えられています。

 

日本ペイントによる遮熱塗料の実験でも約4℃の室温低下が測定されています。

室温を5℃以上も下げる可能性は低いですが、冷房費用の節約には役立つことでしょう。

 

3.熱自体の発生を抑制するためヒートアイランド対策にも役立つ

遮熱塗料は太陽光を反射して熱の発生を抑えるため、都市部の気温が上がる現象「ヒートアイランド」の対策になります。

 

このため、所属する自治体によっては遮熱塗料を使う工事で補助金や助成金を受け取れる可能性があります。

 

遮熱塗料のデメリット

 

熱の抑制や節電効果が期待できる遮熱塗料ですが、無視できないデメリットがあります。

  • 実際にはほとんど室温が下がらない
  • 汚れると遮熱機能が低下する
  • 冬でも遮熱するため暖房費用が増えやすい
  • 色によって太陽光の反射率が約60%も違う
  • 価格が高い

 

1.実際にはほとんど室温が下がらない

メーカーの実験によると遮熱塗料は3〜4℃の室温低下が確認されています。

しかし、実験は遮熱機能を最大限引き出す条件で整えられているケースが多いです。

 

たとえば、実験では鉄板屋根のプレハブ小屋などで試すことが多く、天井に断熱材は使われていません。

実際の住宅は鉄板ではなくスレート屋根などを使い、プレハブ小屋よりも壁や天井が厚く、断熱材が利用されています。

 

このため実際の住宅で遮熱塗料を使っても室温の低下は1〜3℃程度だという見解もあります。

 

実験の場合、屋根の表面は太陽光を直接受ける金属製が多いでしょう。

鉄板に太陽光を当て続ければ表面温度は50℃を超えます。

 

実験による遮熱塗料の表面温度が50℃から30℃に低下したとしても、実際の住宅では屋根裏の空間や断熱材があるため室内に与える影響は少ないでしょう。

節電効果についても、真夏の期間で7%程度の節電が限界ではないかとも言われています。

 

2.汚れると遮熱機能が低下する

遮熱塗料は表面が汚れたら機能が低下します。

太陽光を反射するためには塗装が汚れてはいけませんが、塗料は必ず劣化します。

 

外壁塗装では汚れに強い遮熱塗料が増えてきたものの、数年もたてば劣化するのは避けられないでしょう。

 

3.冬でも遮熱するため暖房費用が増えやすい

遮熱塗料は冬でも太陽光を反射して室温を低下させてしまいます。

このため冬は暖房費用が従来よりもかかる可能性があります。

 

最終的には夏の冷房費用の節約が冬の暖房費の増加を上回ると考えられますが、「遮熱塗料は夏が涼しくて冬は暖かい」と勘違いしていた人は注意が必要です。

 

4.色によって太陽光の反射率が約60%も違う

外壁塗装における遮熱塗料の性能は色によって変化します。

白に近いほど反射率が高くなるでしょう。

 

遮熱塗料を使うとしても、黒色だと約60%も反射率が低下してしまい効果は薄くなるでしょう。

 

遮熱塗料の機能を最大限に活かしたい場合は白色を選ぶとよいのですが、屋根を白にするかどうかは悩む人もいるでしょう。

 

住宅の見栄えを良くするためには屋根は濃い色が望ましいです。

遮熱塗料を使う場合は遮熱機能か屋根の色のどちらかを犠牲にするしかありません。

 

5.価格が高い

遮熱塗料は特別な機能を備えているだけあって、一般塗料より2050%ほど高額です。

遮熱塗料を使うと、冷房費用の節約効果よりも材料費が上回るケースは珍しくありません。

 

断熱塗料のメリットとデメリット

 

断熱塗料のメリットとデメリットを知ることで、遮熱と断熱のどちらを優先するか選べるようになるでしょう。

 

「遮熱」は太陽光を反射して熱の発生自体を抑制する機能です。

一方で「断熱」は、太陽光で生まれた熱を塗料内部の空洞によって伝達しにくくする機能です。

 

断熱塗料のメリット

断熱塗料は遮熱塗料と比べて以下のメリットがあります。

 

  • 表面が汚れても遮熱塗料ほど効果は低下しない
  • 夏は熱を通しにくく、冬は熱を逃がしにくい

 

1.表面が汚れても遮熱塗料ほど効果は落ちない

断熱塗料は光を反射するわけではないため、遮熱塗料に比べて汚れの影響をあまり受けません。

このため表面が汚れても断熱効果は維持されやすいでしょう。

 

2.夏は熱を通しにくく、冬は熱を逃がしにくい

遮熱塗料は冬だと室内が寒くなりますが、断熱塗料は熱を逃がしにくいため暖かさを維持できます。

 

断熱塗料は、熱源が外側と内側のどちらにあるかで状況が変化します。

熱源が外側にある夏は、室内を涼しく保ちます。

冬のように熱源が内側にある場合は室内を暖かく保てるのです。

 

断熱塗料のデメリット

 

  • 価格が高い
  • 十分な断熱性能をもつ塗料がほとんど存在しない
  • ヒートアイランド対策としては効果が薄い
  • 施工が難しい

 

1.価格が高い

遮熱塗料と同様に、断熱塗料も特殊な性能を有しているため高価です。

断熱塗料は数が少ないため価格にも幅がありますが、一般塗料より高価格なのは間違いないでしょう。

 

断熱塗料は空洞を作る必要があるため施工が難しいです。

そのため、遮熱塗料に比べて人件費も高額となるでしょう。

 

2.十分な断熱性能をもつ塗料がほとんど存在しない

断熱性能を有する塗料はほとんど存在しません。

遮熱塗料なのに断熱塗料と名乗るケースもあるため、確実に断熱塗料だといえる製品を見つけるのは難しいでしょう。

 

3.断熱塗料として有名なのは日進産業が販売している「ガイナ」です。

日本の宇宙開発機関であるJAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)が生み出した最先端の断熱塗装技術を応用しています。

 

4.ヒートアイランド対策としては効果が薄い

断熱塗料は太陽光が生む熱エネルギーを抑える機能はありません。

このため塗料内部にためこんだ熱は時間が経過すると放出されます。

 

熱の発生自体を防ぐわけではないためヒートアイランド対策としては効果が薄いと考えられています。

 

5.施工が難しい

断熱塗料は塗装の内部に空洞を作る必要があります。

このため一般塗料のように外壁塗装をすると断熱効果が発揮されません。

プロでも塗装するのが難しく、塗料によっては認定制度を設けているほどです。

遮熱性・断熱性をより高くする方法

遮熱塗料だけでは、遮熱効果が十分に得られない場合は下記の方法を試してみましょう。

  • グレードの高い遮熱塗料を選ぶ
  • 白い塗料を使用する
  • 断熱材をより効果の高いものを使用する
  • 遮熱シートを使う

一口に遮熱塗料を言っても、さまざまなタイプがあります。

グレードの高い遮熱塗料を使うことで、より劣化しにくく遮熱効果が長持ちすることが期待できます。

また白など明るい色の塗料は、太陽光をよく反射してくれるため遮熱効果が高まります。

遮熱塗料だけで効果が無い場合は、断熱材や遮熱シートでより効果を高めましょう。

断熱材は屋根断熱をしっかり行うことで、室内への熱の移動を和らげることができます。

 

遮熱塗料・断熱塗料の相場

遮熱や断熱で有名な塗料の相場を紹介しましょう。

一般塗料と比べると、遮熱や断熱塗料は30坪の住宅で3〜6万円程度の費用が増えるでしょう。

 

サーモアイSi(遮熱塗料):日本ペイント

日本ペイントが販売する有名な遮熱塗料です。

耐候性や光沢保持性にすぐれている屋根用の塗料です、独自のフッ素技術加工により長期にわたって遮熱効果を維持することができます。

下塗り、中塗り、上塗りの3度塗りにかかる費用の目安は3,930円となります。

相場は目安のため、実際の価格は業者によって異なるでしょう。

 

ガイナ(遮熱・断熱塗料):日進産業

日進産業が販売する、遮熱性能も備えた断熱塗料です。

放出される熱エネルギーの約60%、太陽光線から受ける影響を約95%も反射し、防音性能まで備えています。

3度塗りにかかる費用の目安は4,200円程度と考えられます。

ただし、ガイナは施工が非常に難しいため、手間賃としてさらに費用を請求されるおそれがあります。

 

クールタイト(遮熱):エスケー化研

エスケー化研が販売する遮熱塗料です。

40色以上のカラーを展開していることが特徴で、防カビ、防藻効果もあり汚れにくい塗料です。

3度塗りにかかる費用の目安は5,600円程度と考えられます。

 

 

遮熱塗料は何年持つ?

遮熱塗料の耐用年数は、約8年~12年程度ですが塗料の種類により幅があります。

塗料の種類 耐用年数
シリコン系 8年~15年
アクリル系 3年~8年
フッ素系 12年~20年
ラジカル系 8年~16年

一般的なシリコンの外壁塗料と変わらない耐久性と言えるでしょう。

 

遮熱塗料を使うのが向いている人、向いていない人

 

遮熱塗料が向いているのはどんな人でしょうか?

以下のケースに当てはまるのであれば遮熱塗料の利用を検討してみましょう。

 

  • 予算に余裕があって1〜3度の室温低下にお金を使ってもいい
  • 冬よりも夏のほうが苦しい
  • 夏の電力を7%節約した金額が6万円以上で遮熱塗料の金額を上回る

 

遮熱塗料の涼しさを体感することは難しいでしょう。

そのため外壁塗装の予算に余裕がなければ一般塗料で済ませたほうが無難だと考えられます。

 

遮熱塗料は夏こそ効果が期待できるものの、冬は寒くなるという欠点があります。

冬の寒さが厳しい北国や、夏の暑さに苦しまない場合だと遮熱塗料を利用する恩恵は少ないでしょう。

 

外壁や屋根に遮熱塗料を使ったとしても夏の節電は7%程度が現実的な数値です。

例として4月〜9月までの半年間で7%の電力を節約できるとしましょう。

 

毎月1万円の電気代だとしても1ヶ月で700円、半年で4,200円しか節約できません。

10年ほど節約できたとしても42,000円です。

 

外壁塗装の場合、一般塗料に比べて遮熱塗料は3〜6万円ほど高額となるため節電効果が塗料代を上回るかは怪しい人が多いでしょう。

 

費用対効果を考えて、自宅に適しているかどうかを検討してください。

とにかく費用を節約したい人だと遮熱塗料は向いていません。

 

まとめ

 

外壁塗装で使う「遮熱塗料」とは、太陽光を反射する性質をもった塗料です。

一方で「断熱塗料」とは、断熱材のように内部に空洞を作ることで熱を伝えにくくする塗料です。

 

遮熱や断熱塗料は、たいした性能がなくても遮熱・断熱塗料と名乗ることができます。

そのため性能が低い商品が珍しくありません。

 

また遮熱・断熱塗料は室内の温度を1〜3℃程度下げる効果しかありません。

節電効果も7%程度と考えられ、塗料代が節約効果を上回るおそれがあります。

 

遮熱・断熱塗料を外壁塗装で使う場合は、費用対効果を十分に理解してから選ぶようにしましょう。

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