耐震・免震・制震―どれがいい?3種それぞれのメリット・デメリット

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地震大国と言われる日本に居住する限り、揺れに対する備えは必須です。
日頃からいざという時に必要な非常用物資の備蓄はもちろんのこと、「持家がある」「これから家を建てたい」という方は、家自体を揺れに備えておく必要があるとお考えでしょう。

「地震に強い家」などと言うキャッチコピーがあふれる、ハウスメーカーのCMが当たり前のように流れてくる毎日…。
阪神淡路大震災や、近年では3・11と呼ばれる東北大震災を目の当たりにした私たちは、家という家族の入れ物において、どのような備えをすればよいのでしょうか。

阪神淡路大震災の折には火災はほとんどなく、地震の発生が未明であったことから、死者の約77%が自宅で「圧死」ないしは「窒息死」したという調査結果があります。
残念なことに、地震発生時には家そのものが凶器となる可能性があるのです。
このような悲劇を避けるために、家づくりをする際にどう地震と向き合うべきなのでしょうか。
家族を包む場所である家を、本当の意味で「安心して寝起きできるすみか」とする方法はあるのでしょうか。

日本は地震のみならず、台風にも見舞われる土地です。
近頃では竜巻なども多発していることも考えると、原因はさておき「揺れ全般」に備えておく必要があります。

先に挙げた「地震に強い家」はどのように造られるのかを、3つの工法(構法)に分類し、考えてみます。

また、解説に入るまでに失敗しない家づくりで1番重要な事をお伝えします。

「夢のマイホーム」の実現に向けて、多くの人が住宅展示場を訪れたり、雑誌やウェブサイトで情報を集めたりします。

しかし、その一方で、家づくりを始める前に「知っておくべきだった…」と後悔する人が後を絶ちません。

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それでは解説をしていきます。

1.耐震

文字通り、地震という揺れに対して「耐える」ことを目的としています。
既に建築済みの大型の建物に「X字型」「V字型」の耐震ブレースを外側から設置してある状態を見たことがないでしょうか。

特に学校や自治体の庁舎などの公共施設では、このような形式で、後付の耐震工事が行われています。
建物を構成する壁面を強固にすることで、揺れに対しての強度を増す方法です。
壁面を強固にすることは家自体の強度を上げることになりますが、建物のしなりは許容しない作りとなります。

とにかく、壁をがっちりと固めてしまうことで、家全体を守ることが目的なのです。
そのため、地面からの揺れを建物全体にダイレクトに伝えてしまうデメリットが存在します。
遠心力と同じ原理で、地面から遠い場所(2階・3階)で揺れが大きくなる側面があります。
家の内部もちょっとした揺れであっても伝播しますから、家具が移動したり、棚にしまってある物が落ちてきたりといったことが起こりがちです。

家の新築や、耐震リフォームなどでは「パネル式耐力壁」や「筋かい耐力壁」の利用が、この「耐震」に相当します。

 

2.免震

建物自体と、それが据わる基礎部分の間に免震装置と呼ばれるものを仕込み、揺れを「免れる」ことを目的とした方法です。
ゴムやボールベアリングからなる免震装置は、地面の揺れを家にダイレクトに伝えることを避けます。

そのため、建物自体は揺れはしますが、ゆったりと家全体が地震の揺れに追いついてゆくイメージです。
気象庁などから発表される震度ほど、地震の揺れを感じないという安心感もよいところです。
家具のズレや、その内部に収めてあるものの落下を大きく軽減することができます。
家自体をがっちりと強固に、地盤に固定する方法ではありませんから、家そのものの傷みを避けることができるというメリットもあります。

一方で、免震装置自体が高価であることがデメリット。
土台部分に対して、建物の揺れを許容するための面積(スペース)も必要となることから、近隣に家が建て込んでいるエリアや、土地自体が狭いケースでは導入できないこともあります。
横揺れには有効でも、縦揺れの地震にはほとんどメリットがないとも言われています。
専門家の中には「免震技術はいまだ発展途上」という人もいることから、今後の技術発展と市場での伸びを期待したい工法(構法)です。

 

3.制震

「制震」ないしは「制振」と表記されます。
漢字こそちがえど、揺れを制御するという考え方は同じです。
揺れはエネルギーであるとし、それを別のエネルギーに変換することを目的とします。

免震とは異なり、土台部分に家はしっかり固定されていますので、揺れは建物へとダイレクトに伝わります。
外壁と内壁との間に、ゴムや筒に入ったオイルからなる「制震ダンパー」をいれこむことにより、これらの弾性を利用し揺れを吸収し、熱エネルギーへ変換することで家にしなりを持たせます。

繰り返しの揺れに強い(建物の傷みが少ない)とされていて、2階・3階以上部分の揺れが少ないのが特徴です。
これまでは高層ビルなどで利用されてきた技術ですが、最近では一般の戸建て住宅にも活用されるようになってきました。
地震だけでなく、台風(強風)からくる揺れにも有効に働きます。

コストも免震ほどかからないので、比較的ハードルの低い地震対策といえるでしょう。
改築時の後付の制震ダンパーはさほど有効ではないという見方もあり、できれば新築時やリノベーション時に最初から壁面にこれらの装置を組み込むことが有効であると言えます。

 

4.「耐震」「免震」「制震」―単独ではなく組み合わせの家も登場

「耐震」「免震」「制震」―それぞれのメリット・デメリットも当然のことながら存在します。
そのため、それぞれを小規模に取り入れる組み合わせの家も登場してきています。
どの工法(構法)にもデメリットがあると言えども、地震大国である日本に居住する以上、全く取り入れない訳にはいきません。
土地や予算によりぴったりと感じられる、何らかの工法(構法)を検討してください。

比較的多くみられる組み合わせは、「耐震×制震」。
大掛かりな装置が必要で、広い土地を必要とする免震は、一般住宅では取り入れにくいものとされています。

その一方で、「家そのものを頑丈にする耐震」「揺れを吸収する制震(制振)」はさほど大規模な工事とはなりませんし、土地からくる制約がほとんどありません。
土台(基礎)にしっかりと家を固定しますから、必要であれば地下室であっても検討することが可能です。

 

技術はそれぞれ、「正解」はないけれど―

地震大国であり、更に台風の通り道、近年では竜巻の多発など気象に翻弄されている日本。
この土地に住む以上、避けては通れないのが「家の揺れ」に対する備えです。
それらのトラブルを未然に防ぐ(ないしは影響を最小限にとどめる)ためには、3つの方法がありました。

1.耐震
壁面を強固にすることでいえそのものを「がっちり」と固めるという考え方。
建築済みの大型の建物では、「X字型」「V字型」の耐震ブレースといった形で見ることができる。

2.免震
土台と建物とを固定せず、間に免震装置を入れる。
揺れが建物にダイレクトに伝わらないことから家そのものの傷みは少ないが、装置が高価。
土地が広く必要なことも設置が難しい原因となっている。

3.制震
外壁と内壁との間に「制震ダンパー」を入れ込むことが一般的。
揺れエネルギーを吸収する、「しなり」を活かす家とする。
台風や竜巻などからくる家の揺れが多い日本では活用したい技術。

4.「耐震」「免震」「制震」―単独ではなく組み合わせの家も登場
特に「耐震×制震」の組み合わせが増えている。
免震は装置にコストがかかり、併せて土地も広く確保すル必要があることから、これらの組み合わせが広がっているとみられる。

 

このように、地震をはじめとする家の揺れには3つの工法(構法)が有効であることがわかります。
それぞれにメリット・デメリットがありますし、土地や予算との折り合いもとても大事なものです。
揺れに対し、何も考慮しない家に住むわけにはいきません。
家が凶器になることは、決してあってはならないのです。

耐震リフォームへの対応が可能な工法もありますから、新築に限らずリフォームの際にも「耐震」というキーワードを忘れずにご検討ください。

 

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